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新施設に40億円以上を投資。中堅ボルシアMGが描く成長戦略

2019.04.05

1970年代の栄華を懐かしむ「古豪」から、CLにも参戦する「強豪」へ。ボルシア・メンヘングラッドバッハの見事な変身を主導したフロント陣は、強豪のさらに先を見据えた中長期的な発展プランを着々と進行中だ。

 昨秋、2021年までの任期延長が承認されたロルフ・ケーニヒス会長は「ボルシア・パルクが竣工した2004年以降、我われはスポーツ面でも経営面でも成功を収めてきた」と胸を張った。実際、2000年代まで1部と2部を行き来していたエレベータークラブは、今や欧州カップ戦の常連となり、CLに出場した2015-16シーズンにはクラブ史上最高額となる2104万5000ユーロ(約24億円)の利益を計上。ピッチ内外で堅調な歩みを見せている。

ロルフ・ケーニヒス会長

 会長を支えるのは、1974年W杯優勝メンバーのライナー・ボンホフ、旧東ドイツでやはりサッカー選手だったジークフリート・ゼルナーの両副会長だ。ただ、この3人はクラブを牛耳っているわけではない。1999年から2005年までDFとして活躍したクラブOBであり、2009年からスポーツディレクター(SD)を務めるマックス・エバールが強化を、シュテファン・シッパース代表兼CEOが財務を取り仕切り、クラブの発展を陰ながら支えている。特に評価が高いのがエバールだ。無名の若手を発掘・成長させた後、高値で売却する敏腕ぶりを見せつけ、国内屈指のSDと称されている。

 本拠ボルシア・パルク建設時に発生した債務を予定より早く完済するなど、フロントワークのすべてが機能しているように映るが、フロントはまだ満足していない。ケーニヒス会長は言う。

 「スポーツ構造に加え、ボルシア・パルクとその周辺におけるインフラの最適化、さらにはデジタル化、戦略的パートナーシップの確立、国際化。この4つのタスクをこなしていく。そして、自分たちをあまり変えることなく、クラブを現代化させなければならない」

 その「あまり変えない」ための一環として、ボルシア・パルクのネーミングライツは考えていない。また、インフラ整備に関しては今年、本格化する。新たに4つ星ホテル、美術館、医療センター、リハビリセンター、ユースの寄宿学校を開設。その総投資額は3500万ユーロ(約44億円)に及ぶ。地元を充実させて活性化を図る一方で、グローバル化の波にも乗り遅れていない。昨年10月、クラブ史上初となる国外オフィスを上海に開設。青少年向けのクリニックなどを通じて、中国サッカーの発展に寄与していく。無論、巨大なマーケットから得られる収益や、国際的なブランド力の強化を狙った取り組みだ。

2月にオープンした複合施設“Borussia-8-Grad”落成までの軌跡をまとめた動画

 バイエルン、ドルトムントに肩を並べる存在に発展させるべく、御年77歳のケーニヒス会長を筆頭とする経営陣は、愛するクラブに情熱を注ぎ続ける。

Photos: Bongarts/Getty Images

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Profile

遠藤 孝輔

1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。