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正体は女子高生!?独特の世界観でネタ記事をイジる「ゴシップ好き」

2018.04.05

サッカーTwitter有名アカウント「中の人」インタビュー

#2 ゴシップ好き
@gossip_suki


有名であることには何かしらの理由がある。スキルや工夫なくしてなれるものではない。サッカーに関するTwitterアカウントの中でも、数万というフォロワーを有しているものや、強い影響力を持つものがある。彼らはなぜ、どのように有名になったのか? 普段は表に出てこない「中の人」の裏側を掘り下げてみたい。

今回は、イングランドサッカーの移籍ゴシップ情報を面白おかしくほぼ毎日更新し続けるアカウント「ゴシップ好き」。どのツイートにも「どうでもいい笑い」が内包していて、飽きずに移籍情報や面白ネタを楽しめる。淡々とユニークな発信を続ける「ゴシップ好き」の中の人はどんな人なのか。独特な脱力系「ゴシップ好き」ワールドをお送りする。


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「ゴシップ好き」はいかにして生まれたのか


――本日はインタビューをご快諾いただきありがとうございます。まず自己紹介をお願いできますか?

「はい。都内在住の女子高生です」


――へ?

「そういうことにしときましょうよ(笑)」


――それはなぜですか?

「私は『ゴシップ好き』の中の人の色はあまり出さないほうがいいんじゃないかなと思っているんです。誰が配信しているかというよりも、配信の内容を見てもらえればいいのではないかなと思っています」


――女子高生でもバイアスはかかるのでは?

「まあ、女子高生はどう考えても嘘じゃないですか(笑)」


――確かに(笑)。

「いずれにせよ、あまり私自身は表に出なくていいかなと思っています」


――なるほど。では「ゴシップ好き」さんが、イングランドサッカーを見るようになったきっかけは何だったんでしょうか?

「98年フランスW杯におけるマイケル・オーウェン選手の大ブレイクがきっかけでイングランドサッカーに興味を持って……」

98年W杯、当時18歳だった“ワンダーボーイ”マイケル・オーウェンがサッカーへの入り口だった


――98年ですか、もう女子高生設定が崩れていますけど……。

「それはいいじゃないですか(笑)。なので、98年頃からプレミアには興味を持って、2000年に初めてイングランドに行ったんです。その時に現地観戦もしました。チェルシー対アーセナルでしたね」


――ということは、「ゴシップ好き」開設よりも前からプレミアリーグを見ていたことになると思うんですが、当時からネットでの情報発信はされていたんですか?

「いいえ、全然ですよ。2000年代はまだTwitterなんかもなくて、主に発信の場はテキストサイトだったんですけど、一部のコアなサポーターのみなさんが書いているものを読者として楽しんでいるだけでした」


――お気に入りのブログなどはありましたか?

「結構いろんなテキストサイトを読んでいましたね。サイト名をあまり覚えていないのですが、『World in Motion』というサイトはよく拝見していました。海外移籍情報を捻って配信してくれているサイトだったので、大変お世話になりましたね」


――そのサイトが今のスタイルの原点なんですか?

「ええ、間違いなく影響されていますね。あとは、数年前に炎上して閉じた某Twitterアカウントがあったかと思うんですけど、その方の影響も大きいです」


――そうなんですね。存じ上げませんでした。一人の読者だったにもかかわらず、なぜご自身で発信を始めるようになったのですか?

「前回のスパーズ・ジャパンさんの記事を拝見したのですが、私の場合は「サポーターを増やしたい」みたいな意識の高い理由は全然ないんですよ」


――そうなんですか?

「はい。2010年代になって、多くのプレミアサポーターがテキストサイトやmixiからTwitterに移住していきました。実はツール・ド・フランスなどを見るのも私は好きで、自転車ロードレースのランス・アームストロング選手がTwitterをやっているのがきっかけでアカウントを作りました。それでTwitterをよく見るようになったのですが、以前のテキストサイトのようなテイストの面白い翻訳アカウントが当時は全然なかったんです。それで寂しくなって、『ないなら自分で作るか……』としょうがなく始めたのがきっかけです」

Twitterアカウント開設のきっかけになったというランス・アームストロング


あだ名の元ネタ


――当時から今とほぼ同じスタイルで、淡々とジョークを交えながらツイートをしていますね。

「ええ、先ほど申し上げた通り、お手本がすでにいたので」


――他にも参考にしているものは何かあるんでしょうか?

「情報元は『BBC』の『Football Gossip』のコーナーが多いですけど、表現の部分は『デイリー・ミラー』を真似しているツイートは多いかと思います。好きなんですよね、あのくだらない感じが」


――情報の信ぴょう性はともかく、笑っちゃいますね。

「ですよね。選手にあだ名をつけるのも、ミラー紙の影響が大きいですよね。彼らの発信するスタメン一覧を見ても、パッと見だと何がなんだかわからないんですよね。例えばエバートンのスタメンの右サイドバックに『マスタード』って書かれていて、これどういう意味だかわかります?」


――え、わからないです。

「イングランドに“Colman’s Mustard”っていう名前のマスタードがあるんですね。それで彼らはシェイマス・コールマン選手のことを『マスタード』なんてふざけて呼ぶわけです」

昨年3月に右足の腓骨と脛骨を骨折する重傷を負ったコールマン。今年1月の第25節レスター戦で10カ月ぶりに復帰した


――なるほど!

「こうやって解説をしてしまうと、面白味が失われてしまうかもしれなせんが、こういう少し考えさせられて笑うネタが多いんですよね。あとは有名ところでいうと、ニクラス・ベントナー選手のことを“world greatest”(世界最強)としきりにいじっていたのもミラー紙ですね」


――ベントナー! 懐かしいですね。そういえば「ゴシップ好き」のサブアカウントで「世界最強ニュース」ってありましたよね。特別愛着のある選手なんでしょうか?

「これは完全に個人的な好みなんですけど、ケビン・デイビス選手やナイアル・クイン選手、トーレ・アンドレ・フロー選手など、昔から“電柱”系のFWが好きでして。それでベントナー選手を応援していたら、ピッチ外でも面白い言動が多かったのでつい」

昨年9月、約2年ぶりにデンマーク代表復帰を果たしたベントナー(奥)はロシアW杯出場を決めたW杯予選プレーオフのアイルランド戦後、シャンパンをハレイデ監督に浴びせる“無礼講”で喜びを露に。“ネタキャラ”っぷりは相変わらずだ


――いやー、面白いツイートが多かったので、また再開してくださるのを楽しみにしているのですが。

「今ベントナー選手はノルウェーのローゼンボリで活躍しているんでしたっけ?」


――昨シーズンはチームで21ゴール決めてますね。

「そうなんですね。それでも全然ニュースにはなってないのでネタが少なくて厳しいですね。なので、ベントナー選手が監督になってプレミアに戻ってきたら、再開しましょうかね」


――いや、キャラクター的に無理じゃないですか?

「かもしれませんが、実現すれば絶対面白いですよね」


発信のモチベーション


――読者側からパッと見る感じ、2010年に始めてからずっと、ツイートの特徴に大きな変化はないように見えますが、意識して変えたことなどはあるのでしょうか?

「最初のほうは試行錯誤していたのですが、途中からはわりと安定していますね」


――変更した点でいうと?

「あまり、個人の見解は出さないようにしています。そういうのは不要だと思うんですよね。なので、選手の悪口などは言わないようにしています。ただ、一部は出ちゃっている部分もあるのですが」


――具体的には?

「これも当初との変更点なのですが、選手の呼び捨てをやめたんですよ。リスペクトを込めて『○○選手』と呼ぶようにしているのですけど、一部の選手だけ意図的に呼び捨てなんですよね」


――誰なんでしょうか?

「エマニュエル・アデバイヨルとウィリアム・ギャラスです」

“赤”から“白”へ禁断の移籍をしたアデバイヨル(左)とギャラス


――ああ、察しました(笑)。

「一部の例外はあるものの、基本的には自分の色みたいなものは出さないようにしています」


――でもTwitterって、自己顕示欲を満たす場だったりもする中で、自分の色を出さずに7年以上継続している秘訣というか、モチベーションみたいなものはありますか? 使命感だとか。

「使命感はないですね」


――長く継続すれば、そういう感情も生まれそうな気もしてくるのですが。

「個人的には、そういう感情を持ったら終わりな気がしていて、意識的にそういうことは思わないようにしています。こんなアカウント、気負ってやるものじゃないと思うんですよ」


――ではフォロワーを増やしたいみたいな野心もなく?

「ないです、ないです。私にとって『ゴシップ好き』は息抜きなので、自分が面白いなと思ったニュースを翻訳するだけですよ。そういう意味ではスパーズ・ジャパンさんはすごいですよね。使命感を持ってやっているようですし、そういう意味では私といろんな意味で対極にも思えます」


最後に


――「ゴシップ好き」はいつまで継続される予定なのでしょうか?

「女子高生ですし、結婚したらやめましょうかね」


――その設定まだあったんですね(笑)。

「はい(笑)。まあ正直にいうと、全然決めてないです。ふとした瞬間にやめるかもしれません」


――何か読者のみなさんにお伝えしたいことなどはありますか?

「温かく見守ってくれてありがとうございますっていう感謝の気持ちはお伝えしたいです。あとは、皆さんがどのようにお感じかが気になるので、引用RTやリプライで感想などをもらえるとうれしいかもしれません」


――確かにリアクションがあれば励みになりますもんね。

「でも炎上したくないので、燃やさないでください(笑)」


――本日はお忙しい中ありがとうございました。

Photos: Getty Images

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Twitterゴシップ好き文化

Profile

内藤 秀明

1990年生まれ。大阪府箕面市出身。大学時代に1年間イギリスに留学し、FAコーチングライセンスを取得。現在はプレミアリーグを語るコミュニティ「プレミアパブ」代表としてイベントの企画運営や司会を行っている。2019年1月に初の著書『ようこそ!プレミアパブ』を上梓。Twitterアカウント:@nikutohide WEBサイト:https://premierleaguepub.jp/ YouTubeチャンネル『ふとふれ』:https://www.youtube.com/channel/UCUqWyN9txseCK55qhqxPddA

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