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バカヨコ&カンテ。チェルシーの破壊者コンビに宿るコンテらしさ

2017.12.07

注目クラブのボランチ活用術:チェルシー

シャビ、シャビ・アロンソといった名手たちが欧州サッカーのトップレベルから去ったここ数年、中盤で華麗にゲームを動かすピッチ上の演出家は明らかに少なくなっている。では実際のところ、各クラブはボランチにどのような選手を起用し、どんな役割を求め、そしてどうチームのプレーモデルに組み込んでいるのか。ケーススタディから最新トレンドを読み解く。

 伝統的にボランチはインテンシティ重視の傾向が強いチェルシーだが、カンテとバカヨコがファーストチョイスの現チームはさらにそれが色濃い。

 コンテのチームにおけるボランチには、2つの要素が必要だ。1つ目はボール奪取のスペシャリストであること。2つ目はピッチの広範囲をカバーできる走力を有すること。前者に関しては、高速トランジションと縦に速い攻撃が売りのチームには欠かせない資質と言える。後者については、両ウイングバックの激しい上下動により5バック⇄5トップを行き来する反面、中盤が空洞化の危険と隣り合わせでもあるため、広いエリアをカバーできる機動力と、90分間戦えるスタミナが求められる。

 ボールを刈り取ってカウンターの起点となり、さらに5トップの後方をプロテクトするという仕事において、カンテがベストフィットであることはもはや言わずもがな。さらに“追加オプション”として、長距離走をモノともしないカンテには、小回りの良さと小技を生かしてスルスルと上がって行ってフィニッシュに絡めるという長所もある。また今季モナコから加入したバカヨコにしても、体躯を生かしたボール強奪力、高さ、持久力や耐久性の面で、実にコンテ好みで適材適所の人材と言える。

 このように、コンテ・チェルシーのボランチは、相手にボールを持たせることを前提とした上で、奪うこと、スペースを空けないことを重視して選ばれる。逆の言い方をすれば、ポゼッションを重視しないため、パサーであることはチョイスの最優先事項にはならない。もちろんパスセンスが不要とは言わないし、カンテに配給能力が欠けているわけではない。だが、例えばビルドアップやサイドチェンジは定石であるボランチ経由ではなくダビド・ルイスやアスピリクエタに任せる場面も多く、それで事足りるのが今のチームである。

 10月中のカンテ負傷時に代役を担ったのはセスクだった。彼には1本でゴールに直結する“タッチダウンパス”という一芸を望めるが、代償としてボール奪取の回数は明らかに減り、中盤の守備力は極端に落ちた。やはりコンテらしさが宿るのは、カンテ&バカヨコの“破壊者コンビ”が同時にピッチインした時だ。


chelsea formation
17-18 チームスタイル:カウンター
2シャドーと両ウイングバックを高い位置に押し上げ、なおかつ被カウンターを阻止するために広域をカバーする。ビルドアップ時は開いた3バックの間に位置取ってM字型になるが、彼らを飛ばして一気に長距離パスが出る場面も多々。

Photo: Getty Images

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川崎 薫