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プロ入り1年半でJ3からJ1にステップアップ!名古屋グランパス・久保藤次郎が歩んできた進化の軌跡

2023.10.27

順調すぎるステップアップと言っていいだろう。この夏に藤枝MYFCから名古屋グランパスへと移籍を果たした久保藤次郎のことだ。2021年に特別指定選手としてJリーグデビュー。実質のルーキーイヤーとなった昨シーズンは10ゴール6アシストを叩き出し、藤枝のJ2初昇格に貢献。迎えた今季も躍動を続けると、中学時代に下部組織で3年を過ごした名古屋からオファーを受け、早くもJ1の舞台へと辿り着いた。そんな久保が藤枝の地で刻んだ2年近い時間の軌跡を、前島芳雄に記してもらおう。

大学4年時に特別指定選手としてJリーグデビューを飾る!

 2022年のプロ入りから1年でJ3からJ2に、そこから半年でJ1に個人昇格。異例のスピードでステップアップして名古屋グランパス入りをつかんだ久保藤次郎とは、どんな選手なのか。特別指定選手時代から彼を取材してきた視点から報告したい。

 愛知県出身の久保は、中学時代には名古屋の下部組織であるグランパスみよしFCに在籍していたが、ユースへの昇格はならず、帝京大可児高校(岐阜県)に進学。3年次にはエースとして高校選手権の県大会決勝で2得点を挙げ、チームを全国大会に導いた。当時から機動力や得点力は光っていたが、プロからは声がかからず、地元の強豪・中京大学に進む。

 そして大学での4年間でも順調に成長してきたが、全国的な注目度を得るには至らなかった。だが、彼のポテンシャルに早くから注目していたのが、慧眼で知られる藤枝MYFCの大迫希・強化担当。2021年(大学4年時)の6月上旬という早い時期に内定をとりつけ、すぐに特別指定選手として登録。さっそくチームに合流させて、6月23日のテゲバジャーロ宮崎戦という早期のトップデビューにつなげた。

 そこから3試合目で初先発し、大学の試合に戻った期間を経て、9月19日の4試合目(福島ユナイテッドFC戦)で初得点。続く5試合目でも2戦連続ゴールと早々に結果を出してみせた。だが、10月10日のアスルクラロ沼津戦で左太ももの肉離れを負い、残念ながら2021年の出場は6試合に留まった。

プロ1年目は10得点6アシストでJ2昇格に大きく貢献!

 ケガが癒えて正式にプロとなった2022年は、当然のように開幕から先発に定着。故障等で欠場した4試合以外は主力の座を譲ることなく30試合に出場した(うち先発は29試合)。そして開幕前に目標としていた二桁得点を成し遂げ(10得点)、アシストもチーム2位の6。惜しくもベストイレブンには選ばれなかったが、それに値する活躍でチームのJ2昇格に大きく貢献した。

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久保藤次郎名古屋グランパス

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前島 芳雄

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