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「リレーショナルプレー」の代表格フルミネンセはマリノスにそっくり?マルコスと藤田譲瑠チマに聞いてみた

2023.04.14

ヨーロッパの戦術論壇で話題になっている「リレーショナルプレー」。結城康平氏の紹介をきっかけに、日本でもSNSを中心に活発な議論が交わされている。その代表格として取り上げられているのが、ブラジルで名将と高い評価を受けているジニズ監督率いるフルミネンセだ。そのサッカーを見た舩木記者は、ある感想を抱いた。「あれ? マリノスにそっくりじゃないか?」。さっそく練習場で当事者たちにこの疑問をぶつけてみた。

リレーショナルプレーって何?

 最近、ツイッターをながめていたら「リレーショナルプレー」という戦術用語の存在を知った。どんどん新しい言葉が生まれてくるので頭が追いつかないくらいだが、とりあえずどんなものか気になる。なので、細かい解釈や理解は置いておいて、実例として紹介されていたクラブの試合をチェックしてみることにした。

 「リレーショナルプレー」を体現するクラブとして挙げられていたのは、ブラジルの強豪フルミネンセだった。その戦術は国内外で注目を浴び、2022年から指揮を執るフェルナンド・ジニズ監督の名前をもじって「ジニズモ」とも呼ばれているらしい。

 これまでサンパウロやサントス、アトレチコ・パラナエンセなども率いた経験を持つジニズ監督は「ブラジルのグアルディオラ」とも称される智将で、次期ブラジル代表監督の候補とも言われる。では、今年のフルミネンセはどんなサッカーを展開しているのだろう……とYouTubeで最新の試合を見てみると、すぐにJリーグのあるクラブが頭に浮かんだ。

 「あれ? これはマリノスにそっくりじゃないか?」

 そう、2022年のJ1リーグを制した横浜F・マリノスである。オーストラリア人のケヴィン・マスカット監督が築き上げてきた戦い方と、ジニズ監督が率いるフルミネンセのスタイルを比べると、そこら中に共通点を発見することができた。

 フルミネンセは今年、さっそくタサ・グアナバラ(リオデジャネイロ州カップ)とカンペオナート・カリオカ(リオデジャネイロ州選手権)の2冠を達成している。どちらもフラメンゴを破っての優勝だった。

 特にリオ州選手権ファイナルでの逆転劇は圧巻だった。1stレグを0-2で落としてしまったが、1週間後の2ndレグで4-1と大勝。猛烈な勢いでフラメンゴのゴールを攻め落とし、2年連続33回目の優勝を果たした。

リオ州選手権制覇を祝うフルミネンセの選手たち。トロフィーを掲げているのはインテルやユベントスにも在籍した元ブラジル代表MFフェリペ・メロ(右)(Photo: Getty Images)

「確かに似ている」――両クラブでプレーするマルコスの見解

 かつてフルミネンセでプレーし、現在はマリノスで10番を背負うマルコス・ジュニオールも「(2ndレグは)早朝で寝ていたので終盤だけ見たけど、『まさかこんな結果になるとは!』と驚いた」と古巣のタイトル獲得を喜んでいた。そこで筆者の仮説をぶつけると、「確かに今のフルミネンセとマリノスは似ていると思う」と同意してくれた。

 同じように感じている日本人選手はいないだろうか……と思い、常に海外のサッカーにもアンテナを張っている藤田譲瑠チマにも意見を求めた。すると開口一番「フルミネンセって、フットサルっぽいサッカーをするところですよね?」と言うのである。

 藤田は近くにいたマリノスの岡田悟チーフアナリストにも確認すると、同スタッフも「そう。距離感をめっちゃ近くするサッカーね」と返答。このやりとりからだけでも、何らかの形でチーム内にフルミネンセのサッカーに関する知識や動画などが共有されていることがうかがえる。

 もともと藤田はツイッター経由でフルミネンセのサッカーを知って興味を持ったというが、映像を通して「前に動き出すシーンとかは、すごく似ているかなと思います」とマリノスとの共通点を見出していた。

藤田譲瑠チマが解説するフルミネンセの機能性

 筆者がフルミネンセとマリノスの類似性を強く感じた象徴的なシーンは、現地4月9日に行われたリオ州選手権ファイナル2ndレグにおけるフルミネンセの2点目だった。34分に流れるような連携からヘルマン・カノが決めたゴールだ。

フルミネンセ対フラメンゴのハイライト動画。該当シーンは0:35から

 ケノが左サイドでドリブルを仕掛けてボールを前進させると、すぐ内側をジョン・アリアスが追い越す。その動きを利用してスピードを落としたケノは少し中に運び、横パスで右へ展開。ボールを受けたガンソのワンタッチパスに抜け出したヘルマン・カノが冷静にシュートを流し込んだ。一連の流れの映像を見せて、藤田に解説してもらう。……

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J1リーグフルミネンセマルコス・ジュニオールリレーショナルプレー横浜F・マリノス藤田譲瑠チマ

Profile

舩木 渉

1994年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学スポーツ科学部卒業。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。

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