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すでにプレミア有数のCB?新生アーセナルを支えるサリバは何が凄いのか

2022.10.13

8勝1敗でプレミアリーグ首位を走るアルテタ率いるアーセナル。快進撃を牽引している1人が、レンタルから帰って来た21歳のCBウィリアム・サリバだ。もはやアーセナルのDFラインに欠かせなくなったフランス代表は近い将来、世界有数のCBになるであろう才能を秘めている。身体能力、技術、メンタルの三拍子がそろう逸材の凄さに迫る。

 「チームの状態が悪い時、試合に出ていない選手の評価が上がる」

 サッカーにまつわる信頼度の高い言説の1つかもしれない。高額の移籍金で鳴り物入りの入団を果たして以降、計2年半の3回にわたるレンタルを経験したウィリアム・サリバとアーセナルの関係性もこの言説があてはまるものだった。

 彼がフランスで経験を積んでいた間のアーセナルは順風満帆だったとは言いがたい。重要な試合で上昇のきっかけになる勝利を掴んだかと思えば、次の試合で簡単に負けてしまう。若く、ひ弱で繊細なアーセナルはプレミアリーグで安定した成績を収めることができていなかった。

 勝てなかった試合においてDFがふがいないプレーをしたり、あるいはケガで欠場していたりするとアーセナルファンは決まってサリバの名前を口にした。

 「貧弱なバックラインの救世主になる!」

 「プレミアで1試合も出ていないのに? 即戦力と計算するのは無理がある」

 などいろんな意見が出たものである。

 アーセナルが低迷していたにもかかわらずサリバ待望論一色とならなかったのは、奔放なSNSの使い方や、素行にも問題があるのでは? とする報道も影響しているだろう。近年のアーセナルにはピッチ外の理由でチームを離れる事情になった選手があまりにも多い。マルセイユでサリバとチームメイトだったマテオ・ゲンドゥージもその1人。サリバの自由な発言を見て、アルテタと対立してチームから飛び出していった同胞の姿を重ねるファンも少なくはなかったはずだ。

昨季は母国のマルセイユに貸し出されていたサリバ。リーグ1年間最優秀若手選手賞も受賞する急成長を遂げ、今夏からアーセナルに復帰している

スピード&パワー、技術ともに文句なし

 そうした事情も相まって、入団4年目にして迎えたプレミアリーグ初年度のサリバはファンによって期待値がまちまちだった。だが、そのばらついた前評判はサリバのプレーを一目見るだけで変わってしまったと言えるだろう。開幕戦以降、すべてのリーグ戦に出場しているサリバは瞬く間にレギュラーを掴み、チームの中でも欠かせない存在に上り詰めることに成功する。

 プレミア初挑戦のDFが最も苦しむのは世界一と謳われるスピードと強度に耐えられるかどうかだろう。すでにある程度名のあるクラブで活躍している選手も、プレミアではこれまで通用していた武器がまったく通用しなくなり、別人のようにパフォーマンスを落としてしまうというのはよくある話である。

 だが、サリバはそうした話とは無縁だった。スピード、パワーいずれにおいてもプレミアのCBの中でもトップクラスのポテンシャルを持っている。純粋な足の速さではほぼ負けることはなく、空中戦をはじめとする競り合いも一方的に負けることはほとんどない。プレミアの水に馴染むどころか、まるで何年もこの舞台でプレーしていたかのような堂々たる振る舞いを見せている。

 特に強みになっているのは前方に出て行ってFWへの縦パスやスピードに乗ったドリブルを潰すプレーである。サリバは非常に出足が良く、相手が前を向く前の時点でボールをカットし、その場で攻撃を終わらせてしまう。

 こうしたプレーは一歩遅ければファウルになってしまうし、逆を取られて相手に入れ替わられてしまえば大ピンチを迎える。だが、サリバにはそうしたプレーはほぼ見られない。リスクを背負ってプレーすることは彼にとっては当然であり、そうしたことを気にするのはおかしなことなのだろう。前向きで力強い彼の守備は味方を鼓舞し、敵にとっては非常に大きな壁として立ちはだかっている。……

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アーセナルウィリアム・サリバ

Profile

せこ

野球部だった高校時代の2006年、ドイツW杯をきっかけにサッカーにハマる。たまたま目についたアンリがきっかけでそのままアーセナルファンに。その後、川崎フロンターレサポーターの友人の誘いがきっかけで、2012年前後からJリーグも見るように。2018年より趣味でアーセナル、川崎フロンターレを中心にJリーグと欧州サッカーのマッチレビューを書く。サッカーと同じくらい乃木坂46を愛している。

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