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創造性と献身性を兼備する柏レイソルの背番号10。それがマテウス・サヴィオだ!

2022.06.06

主力選手の相次ぐ移籍に伴い、周囲からは“降格候補”とも評されていた柏レイソルが好調だ。現在はJ1で4位と、下馬評を覆す痛快な快進撃を続けており、日立台にも確かな熱気が宿っている。要因はいくつもある。新戦力のフィット。アカデミー出身の若手の台頭。負傷に苦しんでいた実力者の復帰。ただ、中でも大きなキーファクターは10番を託されているマテウス・サヴィオの覚醒だろう。では、このブラジル人アタッカーはなぜ今年に入ってブレイクしたのか。ここは『レイソルと言えばこの人』でおなじみの鈴木潤に語ってもらうしかあるまい。

“降格候補”の好調という逆襲の理由

 第16節終了時点で、柏レイソルは首位の横浜F・マリノスに勝ち点差4の4位と好位置に付けている。昨シーズンは15位と辛くも残留を果たし、シーズンオフにはクリスティアーノ、瀬川祐輔、神谷優太、仲間隼斗といった主力選手がクラブを離れた。

 そんな柏に対して、開幕前に与えられた評価は“降格候補”。しかし、いざ開幕してみれば序盤戦の好スタートに始まり、4月下旬には3連敗こそ喫したものの、5月に入るとチーム状態は持ち直した。直近のリーグ戦2試合では9得点を叩き出す大量得点で連勝を収め、好調を維持したまま中断期間を迎えた。

J1開幕節、湘南ベルマーレ戦でチーム2点目を挙げた小屋松に駆け寄る柏のチームメイトたち

 好調の理由は1つだけではない。古賀太陽、上島拓巳ら中堅という年齢に差しかかった選手たちが、昨年の苦しい状況を繰り返してはいけないと、日頃からチームをまとめるべく尽力していること。新戦力の小屋松知哉、中村慶太がチームに新風を巻き起こし、ピッチの内外で好影響を与えていること。細谷真大を筆頭に、森海渡、升掛友護、佐々木雅士など、アカデミー出身の若手が台頭し、チームに勢いを与えていること。さらに一昨年の大ケガによって、過去2シーズンはフル稼働ができなかった高橋祐治と戸嶋祥郎が、戦列復帰から次第にコンディションを上げていき、今年は開幕からハイパフォーマンスを発揮していることなど、昨年との違いを挙げればキリがない。

輝きを放ち始めたサヴィオの圧倒的存在感

 その中において、チームの中核として出色の働きを見せているのがマテウス・サヴィオだ。今シーズンはここまでリーグ戦全試合に先発出場を果たし、5得点3アシストという数字を記録している。とにかくプレーの一つひとつに華があり、柏の攻撃はマテウス・サヴィオを経由することで強烈なアクセントが加わる。

 その活躍は攻撃面だけにとどまらず、前からのチェイシング、プレスバック、スライドといった守備面の規律も献身的にこなし、1試合の走行距離とスプリントでは必ず両チームを通じて上位に名を連ねるほど。彼の献身性には「こちらが『無理すんなよ』と思うぐらい走ってくれる」(大南拓磨)と味方守備陣も脱帽の姿勢を見せており、ホームゲームの際にスタンドを埋める黄色いサポーターからサヴィオに対して惜しみない拍手が送られるのは、彼の創造性に溢れるプレーに魅了されただけではなく、絶対にハードワークを怠らない姿勢に心を打たれるからだろう。創造性と献身性を兼備する背番号10、それがマテウス・サヴィオである。

 サヴィオが柏に加入したのは2019年の夏。U-20ブラジル代表の肩書きを持つ当時22歳の俊英が新たな環境に適応するまでに、さほど時間はかからなかった。当時の柏にはオルンガ、クリスティアーノという二枚看板が在籍していたため、サヴィオは主に途中出場で流れを変えるジョーカー的な役割を担うことが多かったが、19試合出場、プレータイムにしてわずか963分間で記録した7得点4アシストは実に高いアベレージだ。……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。