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ダニエル・ファルケとノリッチの4年半(前編)。 プレミア昇格を生んだ「クラブのために戦う」哲学

2021.11.29

All the Germans,

so many Germans,

they all go hand in hand, hand in hand through their…

Farkelife!”

イギリス全開の曲に合わせて、ドイツ人指揮官ダニエル・ファルケを称える歌声がノリッチの本拠キャロウ・ロードに響き渡る。ブリットポップの雄Blurの代表作である「Parklife」。それを替え歌にした「Farkelife」は、世界最古のフットボールチャント(※諸説有り)として知られる「On the Ball, City」と同じかもしくはそれ以上に、この数年間ノリッチファンに愛されていた。59年ぶりとなるホームでの昇格を決めたブラックバーン戦も、マンチェスター・シティ相手に大金星を挙げた歴史的な日にも、カナリーズ(ノリッチの愛称)の歓喜にはFarkelifeがあった。

ファルケがバークリースタンドのファンを適度に煽りつつも、じっくりと噛み締めるようにファンと勝利を分かちあう姿は実に尊い。クラブ史上初の外国人(ブリテン諸島以外の出身)監督でありながら、なぜ彼はここまで愛され、去る11月6日の退任で惜しまれたのか。日本からノリッチを応援するファングループ、カナリーズジャパンが振り返るフットボールの喜びと悲しみ、そして情熱であふれていたダニエル・ファルケとノリッチの濃密な4年半。前編では就任初年度の17-18シーズン、チャンピオンシップ優勝を果たした18-19シーズンに焦点を当てる。

17-18:チャンピオンシップの洗礼とファルケの哲学

 ファルケが来る前のノリッチには、停滞感が漂い始めていた。

 14-15シーズンにプレミアリーグ昇格プレーオフで優勝した時の勢いも、選手達への求心力も失ってしまった若手指揮官アレックス・ニールは、チャンピオンシップで浮上の芽をつかむことができず、国内カップ戦でもいたずらに主力を消耗させた上に敗退。経験不足が露呈してしまい、16-17シーズンの終わりを待たずして解任されてしまった。

 指揮官とは対照的に主力の多くはピークを過ぎた選手たちが名を連ね、新CEOに就任したジェズ・モクシーもウルブスでの悪名そのままに良い仕事をすることなく、1年足らずでクラブを去る。

 重苦しい雰囲気を打破したいノリッチは、クラブ初の試みとしてスポーティング・ダイレクター(以下、SD)の新設を決断。ハダースフィールドで辣腕を振るい古豪を45年ぶりのプレミアリーグに導いた男、スチュワート・ウェバーを引き抜きSDとして迎え入れた。ウェバーが手がけた最初の大仕事は監督選びで、白羽の矢が立ったのはドルトムントⅡを率いていたダニエル・ファルケ。ウェバーがかつてテリアーズ(ハダースフィールドの愛称)に招へいしたデイビッド・バーグナーと同じ系譜を持つ男がカナリーズに到来した。

 ハダースフィールドの復活を再現できるのではないか。そんなファンの期待がシーズン開幕が迫るにつれて高まっていく。しかし、ファルケ政権初年度は14位と散々な結果に終わってしまった。新監督の母国ドイツから補強した新戦力達は、初挑戦となったチャンピオンシップの高いインテンシティに苦戦。ドルトムントⅡ時代の教え子であるCBクリストフ・ツィマーマン、元ドイツU-20代表MFマルコ・シュティーパーマン、元ボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFマリオ・ブランチッチ、シーズン途中に加入したキューバ人ドリブラーのオネル・エルナンデスは本領を発揮できず、シーズン途中にトッテナム出身の小さなトリックスター、アレックス・プリチャードを引き抜かれた攻撃陣は、孤軍奮闘でレスターへの個人昇格をつかみ取ったジェイムズ・マディソンのアイディア頼みと、結果も内容も振るわぬ状況が続いた。

 そんな凡庸なシーズンであっても、のちに大輪の花を咲かすことになるファルケの哲学は徐々にクラブに植えつけられていく。初陣となったチャンピオンシップ開幕節、アウェイでのフルアム戦。オウンゴールで先制を許す苦しい展開だったが、元ポルトガル代表FWネルソン・オリベイラが88分に決めた同点弾でノリッチは勝ち点1を手にした。

 この日ベンチスタートの背番号9は土壇場での劇的弾に喜びを爆発。一目散にベンチへと駆け寄った後、ユニフォームを脱いでファルケに9番を突きつける。エースは俺だと言わんばかりの強烈なアピールだった。

17-18シーズンのチャンピオンシップ第1節、フルアム対ノリッチ戦のハイライト動画。問題のシーンは3:16から

 しかし次節の試合前会見でオリベイラの派手なゴールセレブレーションについて問われると、ファルケはこう答えを返した。……

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ダニエル・ファルケノリッチ戦術文化

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カナリーズジャパン

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