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DFBによるデータ活用の最新事例。導き出された“シュートの原則”とは?

2021.10.29

日夜長足の進歩を遂げているサッカー界でのデータ活用。その最前線を走っている組織の1つ、ドイツサッカー連盟(DFB)がゴールにまつわる分析を公開した。長らく中盤に豊富なタレントを擁する一方で、代表のエースとなるストライカー不足に悩まされてきた彼らが、データを基にして定めたストライカー育成のための“シュートの原則”とは?

 ヨアヒム・レーブ元代表監督時代の不調も重なり、2018年以降のドイツでは育成年代にも懐疑的な目を向けられていた。ただ、そんな状況下においても五輪代表世代にあたるU-21代表だけは堂々たる成績を見せていた。2016年に監督としてシュテファン・クンツが就任すると2017年、2019年、そして2021年と3大会連続で欧州選手権の決勝へ進出し、17年と21年は優勝を飾っている。

 その手腕を評価され、2021年9月にトルコ代表監督へと招聘されたクンツは選手時代ブンデスリーガで得点王を経験し、1996年にはドイツ代表の一員として欧州王者に輝いた名ストライカーでもある。そして、U-21代表監督としてDFBアカデミーとともにトップストライカーを輩出するためのコンセプトを作り上げてた。

 クンツは次のように話す。

 「私たちは問いを立てたんだ。最も多くの得点はどのエリアで決められたのか? そのゴールは、どのように決められたのか? ピッチ上のどのエリアからアシストのパスは送られたのか?……そういった問いから、最高レベルのチームやトップストライカーを基準にベンチマークを作り上げたんだ」

“ゴールデンゾーン”と“アシストゾーン”

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DFBデータドイツ代表ミッティラン

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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