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ナポリよ、歌え:開幕8連勝と、その先にあるもの

2021.10.22

イタリア代表のEURO優勝を経た注目の今季セリエAで、ここまで8戦全勝! 19得点3失点で首位を快走するのが、新監督ルチャーノ・スパレッティが指揮を執る昨季5位のナポリだ。クラブ記録タイの開幕8連勝を達成した彼らは、1989-90シーズン以来となるスクデットに値するチームなのか。開幕前の本誌にシーズン展望を寄稿した、長年ナポリを追う大田達郎さんに、あらためて好調の要因を紐解いてもらった。迎える第9節の大一番、10月24日(日)に敵地で挑むローマ戦が楽しみだ。

 今季開幕前、ありがたくも footballista 本誌(第86号)に記事を書く機会をいただいた。イタリア南部の街、ナポリを本拠地とするセリエAのクラブ、SSCナポリ。その新シーズンを展望するプレビューである。そこに書かれるべき内容は、本来であれば、これから始まる新シーズンに期待が高まる、開幕が待ち遠しくなる、そういったものであるべきだ。それを、あろうことか、開幕前からケガ人が多いとか、クラブに資金がないから補強ができないとか、暗い話題ばかり書いてしまった。事実には違いないのだが。原稿を編集部に送ってからしばらくして、もうちょっと明るい話題を書くべきだったのではないだろうかと、少しだけ後悔した。

 今季のセリエAが開幕した。8節が終了した。ケガ人ばかりで金のないクラブはどうなったか。開幕8連勝である。8試合、8勝、0敗、0引き分け、19得点、3失点である。一体どういうことなのか。長くナポリを応援する人々。セリエAを追うカルチョ・ジャーナリストたち。開幕前に不景気な予想をしていたのは、何も私だけではなかった。ここまでの好調を予期していた人は、そう多くはなかったはずだ。

「美しくない」8連勝

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ナポリ

Profile

大田 達郎

1986年生まれ、福岡県出身。博士(理学)。生命情報科学分野の研究者。前十字靭帯両膝断裂クラブ会員。仕事中はユベントスファンとも仲良くしている。好きなピッツァはピッツァフリッタ。Twitter:@iNut

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