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“ロナウド効果”はいかほど!?ユナイテッドの夢物語が実現するか、ナツメロ劇場に成り下がるか

2021.08.31

故郷に帰りたいとメッセージを送りたがったのは、SFファンタジーの名作『E.T.』に登場する宇宙人キャラクター。かつての“ホーム”から帰還を願う声が届いたのは、プレミアリーグで新たな夢物語が期待される“CR7”。イングランド国内は、8月27日に決まったクリスティアーノ・ロナウドのマンチェスター・ユナイテッド復帰に沸いた。

 クラブと代表の両レベルで重ねたゴールの数は通算783得点に上る。欧州主要リーグ優勝7回、CL優勝5回、そしてバロンドール(世界年間最優秀選手)受賞5回といった実績は、ワールドクラスの中でも、それこそ異星人並みに別格だ。最高であり続けることを求めてやまない、常任の想像を絶する意志の力を持つ“メンタル星人”と呼んでもよい。

 おまけに、表面的には急転直下と映る劇的な移籍だった。実際には、少なくとも2カ月前からユナイテッド帰還に向けて動き始めていたというのだから、代理人を含む選手サイドとクラブによる“演出”も効果は絶大。映画の中でE.T.を乗せた自転車が空へと飛び上がったように、ロナウドがまさかの復帰を遂げたユナイテッドの株価は上昇し、プレミア開幕前の時点では昨季の2位から4位に順位降下も予想されたチームは、マンチェスター・シティ、リバプール、チェルシーと並ぶ優勝候補の一角へと評価を上げた。

 移籍決定の前日にはシティ入りが濃厚と報じられていたのだから、ユナイテッドのファンにすれば、悪夢から覚めた途端の夢見心地。指揮官のオレ・グンナー・スールシャールは、チームが説得力のある勝ち方をすると「これが本当のユナイテッドだ」と口にするが、タイトル獲得が当たり前だったユナイテッドの強さを体現する現役レジェンドが戻ってきたのだ。

09年以後、クラブは衰退、彼は進化を続けた

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クリスティアーノ・ロナウドマンチェスター・ユナイテッド

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。在住も20年を超えた西ロンドンが第二の故郷。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。