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【対談】友井川拓×山口遼:サッカー&ラグビー指導者が持つべき 「知識と経験のバランス」

2021.06.30

【対談】友井川拓(NTTコミュニケーションズシャイニングアークスアタックコーチ)× 山口遼(元東大ア式蹴球部監督)

かつて元ラグビー日本代表ヘッドコーチのエディ・ジョーンズペップ・グアルディオラから影響を受けたように、サッカーからヒントを得ようとしているラグビー指導者がいる。NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの友井川拓アタックコーチだ。同クラブのnoteマガジン『学びの接点』を通じて積極的に他分野からの学びをシェアしている友井川コーチは、複雑系からサッカーを読み解いた書籍『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』も参考にしているという。そこで著者である元東大ア式蹴球部監督の山口遼氏と対談してもらい、両競技に共通する指導者に必要な心構えについて語ってもらった。

友井川コーチの背中を押したビトール・フラーデの言葉

――まず、友井川さんがnoteを始めたきっかけは何でしょうか?

友井川「スポーツ以外の現場で働いている人にも知見や経験を共有したくて、noteを始めました。僕自身も数年前まで現役でトップリーガーとしてプレーをしていて、今はラグビートップリーグのNTTコミュニケーションズ(シャイニングアークス)でコーチをしていますが、日本のラグビーは企業チームが中心なので、組織論のようなビジネスとラグビーで共通するテーマで盛り上がることが多いんですね。同じようにサッカーから応用できる知見を求めて、山口さんの『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』やフットボリスタを読んでいたんですけど、そこでビトール・フラーデ教授の『サッカーしか知らないものはサッカーすらも知り得なくなる』という言葉と出会って、ただ情報を享受するだけではなく発信していかなければいけないと思いnoteを始めました」

――サッカーとラグビーだと、ペップ・グアルディオラとラグビー日本代表の元ヘッドコーチ、エディ・ジョーンズが交流していたという話が有名で、エディはバルセロナのスペースの使い方を参考にしていたと語っていました。

エディ・ジョーンズ本人はグアルディオラと交流した経緯について、「バルセロナのプレーに感銘を受けてね。(当時率いていた)ラグビー日本代表は体格の小さいチームだったから、スペースを見つけられるようになる必要があった。それを得意とするチームを作り上げていた世界最高の監督と話がしたくて、スポンサーに紹介してもらったんだ」と明かしている

友井川「基本的なスペースの考え方は、やっぱりサッカーが参考になることが多いですね。ラグビーってコンタクトスポーツのイメージがあるかもしれませんが、攻撃とポジティブトランジションに関しては、コンタクトせずにスコアを奪うのが究極の理想なんですよね。そういう意味では、一方のサイドではオーバーロードで数的優位を作って、逆サイドではアイソレーションで位置的優位を作って、時間とスペースを大きくするという話はラグビーでも有効ですね」

山口「ラグビーの場合だと、攻撃側はキック以外ではボールを前に動かせないですからね。だから守備側は基本的にライン一つで横幅を使って守ることになる。逆にサッカーはボールを前に出せるので、[4-4-2]のような3つのラインで守る。ラインが1つしかなかったら一本のパスで突破されて終了なので、より縦に深みを取って守らなければならない。ラグビーの方がより構造はシンプルになるんですけど、その分隣の選手との距離感が大事なのかなと。数的優位な状況を横幅だけでどう作っているか気になります」

友井川「トライラインに近づくと消えてくるんですけど、ラグビーの守備構造は基本的にワンラインとその後ろにあるバックスペースの大きさで決まっていますね。ラグビーは1チーム15人でやるので、例えばバックスペースに3人が必要なら前のワンラインは12人になります。そこで網目を広くして12人でラグビーフィールドの横幅70mを守るか、網目を狭くしてボールを中心に守るかという問題が出てくる。攻撃側は網目が広ければ選手間のスペースを狙う戦術、網目が狭ければスペースが生まれやすい逆サイドに速くて強い選手を残しておいてボールを届ける戦術が有効になるので、守備側はそれにも対応しなければならない。そういう攻防が生まれていますね」

山口「なるほど。サッカーのチャレンジ&カバーに似てますね。サッカーはパス、ラグビーはランが中心になりますけど、前進に対して予防的に、ボール中心に守るのは本質なのかなと」

友井川「スペースを作って得点を生み出すチャンスに繋げるという原理は変わらないですね」

山口「攻撃面で違いを挙げるとすれば、サッカーは縦にボールを出せるので相手の死角を使ってプレーしやすい。だから意外と守備側がミスを起こしてくれるんですよ。それをいかに誘発するかがサッカーの肝だったりするんですけど、ラグビーは丸くないボールを足で蹴らないと前へパスを出せないので、なかなか難しいですよね」

友井川「だからラグビーの守備では、サッカーよりも純粋にフィジカルが重視される部分があって、特に日本が世界と戦う上で大きな課題でしたね。だからエディジャパンでは個々のフィジカルを大きく強化していて、当時の代表選手から毎日のように3部練習、朝5時くらいからウエイトトレーニングをしていたなんて話も聞いたくらい。あとはフラン・ボッシュという運動学習を研究しているコーチを呼んだりして、一人ひとりのトレーニングの量と質をどちらも上げていったみたいです。やっぱり個人を伸ばしていかないと組織としての成長にも限界がありますからね」

山口「ボッシュの考え方は面白いですよね。僕もいろんな研究論文を読んでいるんですけど、サッカーではラグビーほどの激しいコンタクトが起こらないので最大筋力が意外と出ていないんです。だから例えばペドリのような細い選手が活躍しているのが典型的ですけど、ある程度の筋肉の協調性があれば体を弾かれてもうまく受け流してプレーできたり、認知の能力が高ければそもそもコンタクトを避けられるんですよね」

山口氏が一例として挙げたペドリ。線の細さを補って余りある、18歳とは思えぬ抜群の戦術眼を身につけている

ラグビー界で見直される「認知」への向き合い方

……

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ラグビー友井川拓山口遼指導

Profile

白戸 豪大

1994年沼津生まれ、浦和育ち。フランスのグランゼコールを卒業し、現在はドイツで博士課程中の学生。テーマはサッカーデータ。ポッドキャスト番組: Concast(@concastx)