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新生・滝川第二はアグレッシブなスタイルを貫き、「ちょっと違うな」と思われるチームを目指す

2021.12.21

12月28日に開幕を迎える高校サッカー選手権大会。今回は100回の記念大会ということもあり、例年以上に注目が集まるかもしれない。全国から集結した猛者がしのぎを削る中で、4年ぶりに滝川第二高校が晴れ舞台へと帰ってきた。岡崎慎司、金崎夢生と日本代表選手も輩出してきた兵庫の名門は今、どういうチームになっているのか。高校年代を精力的に取材している森田将義氏が、その現状を丁寧にあぶり出す。

チームの一期生、亀谷誠監督が指揮官に就任

 輩出してきたJリーガーは、スペイン・カルタヘナでプレーするFW岡崎慎司や、元日本代表のDF加地亮、FW金崎夢生(名古屋グランパス)など名前を挙げればキリがない。2010年度の選手権で日本一に輝いたこともある滝川第二高校だが、2017年以来選手権への出場は遠ざかっていた。名門校の復活を託されたのはチーム一期生で、鹿島アントラーズのアカデミーで指導者やスカウトを務めた経歴を持つ亀谷誠監督。昨年2月に就任すると、これまで曖昧だったゲームモデルを明確に定義し、全カテゴリーで同じスタイルを徹底しながら、チーム作りを進めてきた。

広州富力の下部組織でも指導経験を持つ滝川第二OBの亀谷監督

 定義したのは、「ボールを大事にし、常にアグレッシブかつ献身的に攻守に主導権を握る」スタイルだ。相手がアグレッシブに前から奪いに来たとしても、大きくボールを蹴り出して、逃げることはない。最終ラインから相手の状況を判断し、テンポよくパスを繋いで前進していく。相手エリアでは果敢にゴールへと仕掛けていくのが目指すサッカーだ。亀谷監督自身もチームの礎を築いた黒田和生・元監督の下、当時の県内では異色だったボールを繋ぐスタイルを志向してきた。3年時に選手権出場を果たした際は、サッカー雑誌にアヤックスの代名詞であるトータルフットボールと評されるほど華麗なサッカーをしていたという。いわば原点回帰で、亀谷監督はこう口にする。

 「試合を見た子どもたちが、『タキニに行きたい、このサッカーがしたい』と思ってくれることが、クラブを強くしていく。今のやり方で結果を残して、ユニフォームを見なくても、『あ、これは滝川第二だ』とわかるようにしたい」

 だが、変革の道のりは平坦ではなかった。当時のチーム状況を象徴しているのが、昨年の選手権予選の準決勝。主将のMF藤田仁朗(3年)が「自分たちが半年くらいかけて練習してきたことがまったく表現できなかった。先輩も含めて、ちょっとビビってしまって、ロングボールで逃げていた」と振り返る通り、ゲームモデルを発揮できなかった。先制点を奪ったものの、逃げ切りたい気持ちが強くなり、消極的になった隙を突かれ、神戸弘陵高校に逆転まで持ち込まれた。

 今年に入ってからも悪い流れは断ち切れない。2月の新人戦では準優勝したものの、5月に行われたインターハイ予選では準々決勝の手前で姿を消した。夏の遠征でも結果が残せず、チームがバラバラになりかけた時期もあったという。

滝川第二の10番を背負いキャプテンマークを腕に巻く藤田

3年生の確かな成長がチームを変える

 潮目が変わったのは、10月に入ってからだ。

 関東遠征で複数の強豪大学との練習試合を実施。結果的には負けてしまったが、格上相手にもゴールネットを揺らし、最後まで自分たちのやろうとすることはやり通せた。何より、「やろうとしたことを100%近く出せて、負けたなら仕方がない。出せなかったことが問題で、出せなかったから落ち込んだり、人のせいにしたり、余計なことを考えてしまう。その時間を自分たちのプレーに充てた方が良い」(亀谷監督)との考え方を選手が実感できたのは収穫だった。

 3年生の成長も大きかった。今年の1年生は亀谷監督が就任してから声をかけた選手であるため、ゲームモデルを忠実にこなせる技術力の高い選手が多い。チームにフィットするのも早く、夏場には複数の1年生がスタメンの座を掴んでいた。だが、選手権予選が近づき始めた10月以降は状況が大きく変わった。

 「1年生に引っ張られて3年生のフットボールの才能が向上してきた。高校生活最後ということもあり、気持ちがガッと出てきた。上手さは1年生に習って、強さは上級生に習って、という良い競争ができるようになりました」(亀谷監督)……

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指導文化滝川第二高校育成

Profile

森田 将義

1985年、京都府生まれ。19歳から関西のテレビ局でリサーチ、放送作家として活動。サッカー好きが高じて、2011年からサッカーライターとしての活動を始める。現在は高校、大学など育成年代を中心に取材を行い、各種媒体に寄稿。