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【東大対談/前編】伊沢拓司×山口遼。日本サッカーをアップデートする方法

2020.07.24

東大ア式蹴球部監督である山口遼の初の書籍『最先端トレーニングの教科書』の発売を記念して、『QuizKnock』や『東大王』でお馴染みの伊沢拓司さんとの東大対談が実現。サッカーとクイズという異なるジャンルを横断することでどんな化学反応が生まれるのか――? 前編では「サッカー×アカデミック」の可能性についてディープに語り合った。

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問題解決のアプローチは「具体」と「抽象」の両輪

――今回はサッカーとクイズという、ジャンルを横断することによる新たな視点の発見というテーマで対談ができればと考えております。まずはお二人の簡単な自己紹介から始めてもいいでしょうか。山口さんと伊沢さんは同郷で東大の先輩後輩ですよね。

山口「山口遼です。1995年生まれで、出身は茨城県つくば市です。中学校からアントラーズのつくばジュニアユースに入って、高校もそのままユースですね。3年生の時にサッカーを一度中断して、一浪して東大ですね。大学でも3年までは選手をやっていたんですけど、そこで選手を辞めて学生コーチから指導者キャリアをスタートして、今3年目です。今年から大学も辞めてプロの指導者を始めました。よろしくお願いします」

伊沢「伊沢と申します。1994年生まれで、出身は茨城県の桜川市です。中学1年生の頃からクイズをやっていて、高校生クイズ等に出たり、現在は『東大王』という番組に出演させていただいています。2019年にはQuizKnockというクイズの会社を作り、そこで働いております。サッカーに関しては全然プレー経験はなくて、フットサルで遊ぶくらいなんですけど、トッテナム・ホットスパーのファンとして試合をいっぱい見ているというくらいです」

――ついこの間YouTubeやTwitterで、伊沢さんの本棚を紹介する企画をやっていましたよね。

 サッカーの本も何冊かあって、その中の1冊が弊社で出版した『ポジショナルプレーのすべて』という本でした。サッカー戦術なども興味があるんでしょうか?

伊沢「見ていただいてありがとうございます。どちらかというと、そこに触れておかないとついて行けないなという感覚はあります。特に今プレミアリーグは戦術の実験場だったり、トップクラスの戦術眼を持った監督がいたり、下位のチームが非常に攻撃的なプレーイングをしたりする中で、それをわかっていないと自分の見えていない領域で試合が進んでいて怖いと思って勉強し始めたという感じです。全然ぺーぺーなんですけど、逆にこうした本を読むことで発見がすごくあります」

――今回の山口さんの本はどうでした?

伊沢「面白かったです。特に、学術的な記述フォーマットで戦術的ピリオダイゼーションを書いていたのが良かったです。フットボリスタ本誌の特集や、結城(康平)さんの『ポジショナルプレーのすべて』にも戦術的ピリオダイゼーションのコーナーがあってそこで基礎を勉強させてもらいましたけど、抽象・具体・抽象・具体のやり方で本質の理解に落とし込もうとしているものはあまりなかったと思います。『チームの持っている文化、環境といったものが非常にゲームプランに対して与える影響が大きくて、ゲームプランというのは理想ではなくて現実なんだ』みたいなお話をしている部分は、今までのものを読み返してみると必ず触れられているんですけど、抽象論として語られることが多かったというか。それに対して山口さんは必ず『抽象で述べてから具体にいく』という書き方を通底していたので、僕個人としては非常に読みやすかったです」……

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Profile

浅野 賀一

1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。