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フライブルクの責任者が見たドイツ育成の現状と、U-23選手を育てる意義

2021.03.09

これまで多くの才能を輩出してきたドイツサッカーだが、現在は育成に対して危機感が抱かれている。フライブルクのクレメンス・ハルテンバッハは「18歳から23歳の選手にもっと目を向けるべき」と提唱しているが、その真意はどこにあるのだろうか。

 フットボリスタでも何度か取り上げたように、ドイツサッカー連盟の育成に関わる責任者たちは危機感を抱いている。2018年ロシアW杯での惨敗に加えて、U-19以下のアンダーカテゴリーで結果が出ていないからだ。ドイツで育成クラブとして評価の高いフライブルクの責任者であるクレメンス・ハルテンバッハは、ドイツの現状をどう見ているのだろうか。『キッカー』の中でその概観を説明している。

「性急な結果を求め過ぎている」

 ハルテンバッハは、ドイツサッカー連盟の責任者たちに比べて、ドイツのサッカー界に才能が枯渇しているとは感じていない。問題は「2つ星(プロになれるが、代表には届かないと思われる)の才能を育てるために、どれだけのエネルギーを投入するかだ」と話す。

 「カギは、多くの選手たちの成長を17歳で見極めようとしないことだ。その時点で代表選手になれないと、指導者が確信していたとしてもね。代表選手になれないとしても、ブンデスリーガで定着できるだけの選手にはなれるかもしれない。現在の議論は、あまりにも世界トップレベルの選手を育てることに目が行き過ぎている」……

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RBライプツィヒバイエルンフライブルク育成

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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