バルセロナの下部組織は、なぜ元気がなくなったのか?

成功者ソシエダと比較して見えてきた問題点
プジョル、シャビ、イニエスタ、ビクトル・バルデス……。かつて育成のトップを走っていたバルセロナのカンテラに元気がない。トップチームの育成組織出身者は年々少なくなり、高齢化が進んでいる。成功者ソシエダと比較して明らかになった、バルセロナの近年の育成の問題点とは?
バルセロナのカンテラ(育成組織)はなぜ機能していないのか? 日本のいち記者の手に負えない大問題だが、成功者ソシエダに話を聞いて見えてきたことがある。
まず、現状の機能不全ぶりを紹介しておく。
トップチームに16人の育成出身者を送り込んでいるソシエダに対し、バルセロナのそれは8人(メッシ、ピケ、ブスケッツ、ジョルディ・アルバ、セルジ・ロベルト、アレニャ、リキ・プッチ、アンス・ファティ)。今季トップ昇格したアラウホもBチーム出身だが、2018-19シーズンに獲得し2年間在籍しただけの選手を「育成した」とは言えないだろう。ちなみに、UEFAもクラブ育成選手の定義を「15歳から21歳までに最低3年間在籍」としている。
さて、8人という数は今でもリーガ有数なのだが、問題は高齢化が進んでいること。なにせ、下部組織からトップチームに定着したのは28歳のセルジ・ロベルトが最後なのだ。メッシとピケは33歳、ブスケッツは32歳、ジョルディ・アルバは31歳である。18歳のファティは定着間違いなしだが、22歳のアレニャ、21歳のリキがトップに残れるかは疑問。というか、クラブに残れる保証もない。ロナルド・クーマン監督は2人をまったく信用していない。リーガ第20節時点でのリーグ戦でのプレー時間はリキ25分間、アレニャ46分間(編注アレニャはその後、ヘタフェにレンタル移籍)。通算の数字でこれだったのだ。
トップデビューはさほど難しくない。カンテラ嫌いと批判されたバルベルデ元監督の下ですら14人がデビューした。が、定着できない。下の表通り、そうそうたる顔ぶれがデビュー後にバルセロナを去っている。……
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。