南野拓実の“影の仕事”が浮き彫りに…低迷モナコの監督交代は正しかったのか?
おいしいフランスフット #25
1992年に渡欧し、パリを拠点にして25年余り。現地で取材を続けてきた小川由紀子が、多民族・多文化が融合するフランスらしい、その味わい豊かなサッカーの風景を綴る。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第25回(通算183回)は、一昨季2位、昨季3位のリーグ1で目下8位(全18チーム)、CLでは先週ホームの決勝トーナメント・プレーオフ第1レグで敗戦と、“タキ”不在で正念場を迎えたモナコの現状をレポート。
11月からの8戦7敗に『フロントは辞任しろ』
ASモナコが、不安定なシーズンを送っている。
リーグ1で一時は10位まで順位を落とし、第23節を終えた現在は8位。CL本大会にストレートインできる3位リヨンとの勝ち点差は「11」と、ここから追い上げるにはなかなか厳しい。
とりわけ昨年11月からは3連敗、1勝を挟んで4連敗と、黒星が続いた。
合間の1勝は第14節のパリ・サンジェルマン戦(○1-0)。南野拓実が決勝ゴールに加えて相手のキーマン、ビティーニャを封じる圧巻のパフォーマンスで殊勲の勝利をもたらした。しかしそれ以外は、リヨンやマルセイユといった上位陣だけでなく、昇格組のパリFCやロリアンからも勝ち点を奪えていない。
とりわけダメージが大きかったのが、1月16日の第18節だった。
本拠地スタッド・ルイⅡで昨季3位のモナコが同リーグ2王者のロリアンに1-3という完敗(奇しくも彼らには敵地でも3-1で敗れている)。先制点を許した後、同点に追いつくも、終了間際の5分間で2発を食らっての黒星に、サポーターも愛想を尽かしたのか、定位置であるゴール裏のスタンドはガラガラ。目立っていたのは、『フロントは辞任しろ』という横断幕だった。
フランスカップでも、2月5日のラウンド16でストラスブールに3-1で負けて敗退。
唯一CLだけは、マンチェスター・シティやレアル・マドリー、ユベントスらと対戦したリーグフェーズの8試合を2勝4分2敗でしのぎ、プレーオフ圏内の21位にとどまった。しかし、決勝トーナメント進出を懸けて戦う相手はパリSGに。
17日にホームで迎えた第1レグは、開始直後にフォラリン・バログンが先制。スタッド・ランス時代に伊東純也(現ヘンク)の相棒だったFWは18分にもネットを揺らし、モナコが2-0と好スタートを切ったが、前半が終わる前にデジレ・ドゥエとアクラフ・ハキミに返される。さらに後半開始直後にテクニシャンのアレクサンドル・ゴロビンが一発退場となる痛恨のハンデを負うと、67分にはドゥエに2点目を決められて2-3の逆転負けを喫したのだった。
25日にパルク・デ・プランスで行われる第2レグで勝てなければ、2年続けてプレーオフでの敗退となる。
ヒュッター→ポコニョーリで結果は悪化
この状況を受けて、いやおうなく持ち上がっているのが“監督交代失敗説”だ。
モナコは、第7節のニース戦(△2-2)後にアディ・ヒュッター監督を解任し、2024-25シーズンにロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズを90年ぶりのベルギーリーグ優勝に導いた元ベルギー代表DFの38歳、セバスティアン・ポコニョーリを後任に招聘した。
2023-24シーズンから指揮を執るヒュッター監督と、シーズン途中から采配を引き継いだポコニョーリ監督を単純に勝率だけで比べるのはフェアではないが、前者は7試合で4勝1分2敗の勝ち点13。後者は第8節から第23節までの16試合で6勝3分7敗の勝ち点21。1試合あたりの勝ち点は、1.86に対し1.31と、その差は歴然である。
当然ながら「代えなければよかった」「ヒュッター監督のほうがよかった」という声はサポーターからも挙がっている。もちろんこれは結果論というやつではあるが、現状に関して言えば、自分もそう思う。あのタイミングでヒュッター監督を解任することなく続行していたら、ここまで順位を下げていなかっただろう。
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
