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ベルギーリーグ、客席開放と同時に人種差別撤廃を訴える

2020.09.20

 ベルギーのプロリーグ機構と冠スポンサーのジュピラー社は9月9日、観客席開放が徐々に進められる今月に合わせ、人種差別撤廃を訴える動画を公開した。

 プロリーグは公式サイトで「新型コロナウイルスの世界的流行により、サッカーの試合は無観客(または客席を大幅に限定して)で開催している。サッカーは私たちが慣れ親しんだものとは異なるものだった。歓声、チャント、パッションはそこにはなかった。しかし同時に、人種差別もなかった。新型コロナウイルスは人種差別主義や差別的なチャントをスタジアムから消した」と発表した。

 プロリーグ機構の責任者のスタイン・ファン・ベフェル氏は「サッカーはここ数カ月の間、いつもと同じものではなかった。我われは試合に対する情熱と体験を逃してきた。そして、見逃してはいけないのは、スタンドで時々聞かれる人種差別など、スポーツに悪影響を与えるネガティブな言動だ。週末から再びファンとそれを伴う情熱を迎えられることは大変うれしく思うが、同時に人種差別が復活しないことを願っている。この動画は希望に満ちた紛れもないメッセージを伝えるものだ。人種差別は禁止する」と発表した。

応援できる喜びを実感

 ジュピラー社のマーケティングマネージャーのジョセ・ペレマンス氏は「私たちの国では、何十万人ものファンがサッカーの試合を体験する機会を逃してきた。そして、その機会が復活した現在、サッカーへの情熱が再び復活することを願っている。しかし、そこには人種差別がないことを願う。ベルギーで最も気に入られているラガーとして、このメッセージを伝えることが私たちの責任であると考えている」と話した。

 9月11日に開催された第5節オイペンvsヘントの一戦から、ベルギーの1部、2部リーグでは人数制限を設けながらの観客動員を開放した。アンデルレヒトvsセルクル・ブルッヘでは、アンデルレヒトのホーム「ロット・パーク」に設けられた上限の6000人の動員を集めており、ファン・サポーターからは再びサッカーを観戦し、応援できる喜びに満ちた動画が公開された。

 人種差別的なチャント、LGBTなど性的マイノリティを侮辱するチャント、ベルギーで長年くすぶり続ける南北対立を煽るチャントなど、昨季までのベルギーでは様々なチャントが報道で取り上げられた。根深い問題だが、客席の開放後になくなることを願いたい。


Photo: Getty Images

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アンデルレヒトブルッヘヘント

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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