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隔離措置が続く中、2部クラブがひそかにグループ練習を実施

2020.06.06

 アルゼンチンで新型コロナウイルス感染症防止対策として3月20日から始まった強制隔離措置は6月28日まで延長となり、不要不急の外出禁止に伴ってあらゆる活動制限が続いているが、プロサッカーにおいても3カ月以上、チーム練習が禁じられた状態となっている。

 隣国のパラグアイが7月17日に、ウルグアイが8月1日にリーグ戦を再開することとなり、それに向けた準備を着々と進める一方、シーズン開幕のめどさえ立っていないアルゼンチンサッカー界はすべてがストップしたままだ。

 そんな中、2部リーグに属するデポルティーボ・リエストラがクラブ施設内でグループ練習を行っていたことが発覚。国の法令に違反する行為であるとして、サッカー界だけでなく政府をも巻き込んだ大きな問題となっている。

クラブ側は練習実施への関与を否定

 違法行為が表沙汰になったのは6月3日、スポーツ専門局『TyCスポーツ』のサッカー番組で練習風景の動画が流された時。隠し撮りされたその動画には、リエストラの施設内で数名の選手がコーチの指示に従って練習する様子が映されていた。

 全員がボールを使い、GKもグローブを着用していることなどから、「計画的に行われていた練習」であることがうかがえる。また、番組が同時に入手した情報として「出勤目的の特別外出許可を持つ選手たちが週に3回集まってトレーニングを行っている」とも報じられた。

 全クラブが活動を停止する中、ひそかに練習を行っていたというニュースは一斉に広まったため、リエストラは即「クラブ側は練習について何も知らない」という声明文を公表。

 だが、クラブが所有する施設を選手とコーチが無断で使用したという説は信憑性が薄く、アルゼンチンサッカー選手組合は「リエストラの役員は権力を乱用し、選手を含む国民の命を軽視して練習を行った」とクラブを強く批判した。

 AFA(アルゼンチンサッカー協会)の規律委員会も「違法行為に関する調査を始める」とし、そのためリエストラに対し「今回の事態について即刻詳細を報告すること」を命じた。

 サッカーに限らず、政府が発令した強制隔離措置に違反した場合は罰金及び禁固刑が科されることとなっている。ブエノスアイレス市の安全委員会のギジェルモ・マデロ代表も「リエストラは感染例が多発している地区にある」ことを強調した上で、今回のケースが「連邦犯罪」として扱われることを明らかにしている。6月6日現在でまだ処分は下されていないが、一部のメディアは「最低でも罰金とスタジアムの一時閉鎖は避けられない」と報じている。

 ちなみに、リエストラは5部リーグに属してした2013年にディエゴ・マラドーナをコーチに迎えたことで知名度を高めたクラブ。以後、マラドーナとは常に良好な関係を維持し、昨年2部に昇格した際にもマラドーナから祝福のメッセージを送られていたことで話題になっていた。


Photo: Getty Images

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ディエゴ・マラドーナ

Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。