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ロシア軍侵攻の影響は…ウクライナでプレーするアルゼンチン人選手たちの近況

2022.02.27

 ロシア軍によるウクライナ侵攻は全世界に衝撃を与え、現地に住む人々の安否が懸念されるが、アルゼンチンでは関連情報とともに、ウクライナでプレーするサッカー選手たちの近況も報じられている。

 現在ウクライナのクラブに在籍するアルゼンチン人選手はファブリシオ・アルバレンガ(所属先:FKルフ・リビウ)、クラウディオ・スピネリ(FKオレクサンドリヤ)、フランシスコ・ディ・フランコ(SKドニプロ-1)、ヘロニモ・ポブレテ(FCメタリスト・ハルキウ)、イケル・スコット、ルーカス・パタネリ、ダビド・バジェホス(いずれもFKカルパティ・リビウ)の7人。このうち、ロシアの軍事侵攻が始まった2月24日の時点で、トルコでキャンプ中だったポブレテを除く6人がウクライナ国内にいたことが確認された。

ルーマニアやポーランドに脱出

 元アルゼンチン代表のクラウディオ・カニージアにちなんで「クラウディオ・ポル」と名付けられたスピネリは、2018年に古巣ティグレからイタリアのジェノアに移籍した後、レンタルで国内外のクラブを渡り歩き、2020年にはヒムナシアでディエゴ・マラドーナ監督の指導を受けた経験を持つ24歳のFWだ。スロベニアのFCコペルを経て、昨年7月からオレクサンドリヤでプレーしていた。

 アルゼンチンのサッカー専門番組の取材に応じた父親の話によると、スピネリは2月24日、クラブが用意したミニバンに乗ってポーランドに向けて出発したが、大渋滞に巻き込まれて車が前に進まず、国境まで徒歩で移動して越境を試みることになった。

 番組では父親が現地のアルゼンチン領事館に助けを求めたところ、同時に取材を受けていたポーランド在住の元バレーボールアルゼンチン代表監督が全面的な協力を申し出て、国道にいたスピネリと早速連絡を取り合う一幕もあった。

 フランコはジュニア時代にボカ・ジュニオールに入団し、2013年6月にカルロス・ビアンチ監督によってプロデビューを飾った。メキシコとキプロスでプレーした後、2017年にウクライナに渡り、2020年にカルパティ・リビウからドニプロ-1に移籍した。2月25日時点ではまだウクライナ国内に留まっており、クラブが外国人選手のために準備したホテルに一時的に避難した状態にある。

 ラジオ番組の取材の中でフランコは「アルゼンチン大使館に電話をしたが誰も出なかった。緊急連絡用の番号にかけて問い合わせたところ、もしポーランドに行く手立てがあればできるだけ早く脱出した方がいいと言われたが、移動を手伝ってくれるわけではない。今はとにかく、どこでもいいから国外に出たい」と語った(編注:日本時間2月26日になり、フランコのルーマニア入国が確認された)。

メディアに不満を漏らす選手も

 取材を通して近況を伝えたスピネリとフランコとは異なり、メディアに対する不満を漏らしたのがベレス・サルスフィエルド出身のアルバレンガだ。

 アルバレンガは自身のインスタグラムで「うまくいっている時は目もくれず、まるで存在していないかのように扱うのに、何か悪いことがあった途端にやれ電話だのメッセージだのと連絡を取りたがり、取材を申し込んでくる。迷惑かけるなよ、ジャーナリストたち」と書き込み、緊迫した状況下でコンタクトを取ろうとするメディアに対する怒りを露にした。

 取材に応じることはなかったが、インスタグラムのストーリー機能を使ってブラジル人チームメイトのエジソン・フェルナンドとそれぞれのパートナーと一緒に車で国境に向かっていることを報告。その後、フェルナンドの投稿から、全員が徒歩で無事にポーランドに入国したことがわかっている。

 なお、アルゼンチン時間の2月25日時点で、カルパティに所属する3名については詳細が明らかになっていない。


Photo: Getty Images

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Profile

Chizuru de Garcia

1989年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。

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