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“世界最長”の代表選手としてギネス認定されたアンドラの英雄

2020.05.30

 イルデフォンス・リマという選手をご存じだろうか。2000年代にはスペインやイタリアの2部リーグでプレーした経験を持つ選手だが、その名前を聞いてピンとくる人は少ないはずだ。

 現在アンドラの強豪インテル・クラブ・デスカルデスに所属する彼は、アンドラ代表で10年以上も主将を務める同国サッカー界の英雄だ。昨年11月にはある記録がギネスに認定され、世界的に注目を集めた。

23年近くも代表でプレー

 1979年12月10日生まれ、現在40歳のリマは、代表チームで約23年間もプレーしているのだ。代表デビューを果たしたのは1997年、17歳の時である。それから128試合(FIFA集計)、実に22年148日も代表チームでプレーしてきたのだ。彼こそギネス記録が認める“世界最長”の代表選手なのだ。

 FIFAランク135位のアンドラはサッカー界では弱小国である。リマが出場した128試合のうち、勝利したのは5回だけで、100試合以上は敗戦に終わっている。それでも忘れられない試合はいくつもある。「23年間もプレーしているが、今でもデビュー戦と同じ気分になる」とリマは『BBC』に語った。「周りの人からは『いつかは何も感じなくなるはずだ』と言われたけど、私は今も変わっていない」

 9歳年上の兄も代表選手だった。代表チームのDFラインの中央で、2人は12年間もコンビを組んだ。アンドラ代表の記念すべき初勝利も2人で味わった。1996年にFIFA加盟が認められた4年後、2000年4月26日のベラルーシとの親善試合だった。兄と一緒に2-0の完封勝利を収めた試合について、FIFA公式HPでこう振り返る。

 「今でも鳥肌が立つ。私たちに“親善試合”なんてものはない。どの試合も全力さ。少しでも気を抜けば、いつだって大敗必至だからね。今でも覚えているよ。兄がDFラインからベッケンバウアーのようにドリブルで持ち上がってPKを獲得したのさ。あの試合の主審の名前まで覚えている。スペインのダウデン・イバニェスさ。アンドラにとって初めての勝利だったからね」

“王国”ブラジルとも対戦

 偉大なプレーヤーとも対戦した。1998年、1週間後にワールドカップ開幕を控えたブラジル代表が、調整試合の相手にアンドラを選んだのだ。

 ロナウド、リバウド、ロベルト・カルロス、ドゥンガなどを擁するサッカー王国との対戦だった。0-3で敗れはしたが、リマは自信を深めたという。

 「当時、私は18歳。まだエストニアやラトビアといったチームとしか対戦したことがなかった。でも、ブラジルと戦えたんだから、どんな相手とも戦えると思えた」

 ビデオゲームで見ていたロナウドと実際に対峙して「強くて速い。全てがそろっていた。彼を止めるのは不可能だ」と最高峰のレベルを肌で感じたという。

 40歳を超えた今も、リマは代表チームでプレーを続ける予定だ。そして、いつか指導者になってアンドラの若い才能を育てたいという。

 「UEFAのB級ライセンスを取得中なんだ。自分の経験を生かして若い選手を育てたい。フットボールの面で、アンドラにはまだまだやるべきことがたくさんあるんだ!」


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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