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チーム練習が停止されるイタリアでブレシアの行動が物議を醸す

2020.03.24

文 神尾光臣

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のために中断中のセリエA。3月22日の時点でイタリア全土の死者は5476人となり、乗り物を使った自治体から自治体への移動までもが禁止となるなか、各サッカーチームも集合しての練習が停止となっている。3月11日に出された首相令ではプロチームの練習は認められており、各チームは18日以降、順次練習を開始する予定となっていた。

 ところが、感染が広がるばかりの国内状況を前に「やはり練習もやめるべきだ」との提言がイタリアサッカー選手協会(AIC)などからなされた。早期の練習再開を望んだクラブもあったようだが、20日に行われたレガ・セリエAのビデオ会議でも、さしあたって4月3日までの練習停止が確認された。

 唯一ナポリだけが反対をしていたと伝えられていたものの、22日にクラブの顧問弁護士であるマッティア・グラッサーニ氏の口から「4月4日に再開する予定」と宣言され、足並みをそろえることになった。

元スタッフ2名を練習場に呼び出す

 そんな中、あるクラブの行動が物議を醸した。3月17日にブレシアが突如、元コーチングスタッフ2名をトルボーネ・カザーリアの練習場に招集したのだ。両者とも、すでに解任されたエウジェニオ・コリーニ監督、ファビオ・グロッソ監督の下で働いていたスタッフで、今はクラブとは無関係。何よりブレシアは「28日までチームの練習を取りやめる」と14日に発表したばかりだった。

 これは各方面から非難を浴び、特にイタリアサッカー監督協会(AIAC)は「労働環境の安全を守るように定めた法令に違反しているのみならず、必要のない理由で労働者を危険な環境にさらしたことで、スポーツの関係機関に対してしかるべき措置を取るよう申し立てをする」と警告を発表した。

 インテルなどで活躍したマルコ・マテラッツィ氏に至っては『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに対し「解任した人間を呼び付けるとは卑劣な行為だ」と痛烈に批判した。

会長は反論、そしてリーグ中止を要請

 マッシモ・チェッリーノ会長は3月22日、『コリエレ・デッロ・スポルト』のインタビューでこの件について釈明。「グループを小分けにし、練習場で個別トレーニングをしてもらうつもりだった。しかし電話に出なかったので、招集のレターを書くことになった」とし、「彼らには協力をお願いしただけ。そもそも医者やスーパーマーケットで働いている方々もいるのに、労働の危険とはどういうことか」と、クラブの決断の正当性を訴えた。

 また、チェッリーノ会長は同時に「疫病に見舞われたこのシーズンのことなんて忘れてしまおう。ロンバルディア州のファンからは『もうサッカーを続けて欲しくない』という声もあった。ウルトラスが病院に酸素吸入器を運び、死者が出て泣く。こんな状態で再開できるのか」と語り、リーグの中止も主張した。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。