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試合が中継されないフラメンゴ。それでもサポーターは支持をする

2020.01.29

 シーズンオフの短いブラジルサッカー。約1か月間の休暇の後、1月18日から全国で州選手権が続々と開幕している。

 州内のチーム同士の戦いだけにクラシコの割合が増え、「サポーターの熱さはブラジル全国選手権以上」と言う人もいるほど重要な大会だ。テレビでも多くの試合が中継され、連日ニュースもたけなわ。リオデジャネイロ州選手権の1部リーグには12チームが出場しており、前・後期の各リーグで優勝チームを決め、最後に総合優勝を争うことになる。

 ただし、その前期リーグ第3節を終えた時点で、最もサポーター数の多いフラメンゴの試合がテレビ中継されていない。試合の放映権料が、テレビ局とクラブの間で折り合わなかったのだ。

3冠王者の試合が中継されない不思議

 リオ州選手権はブラジル最大手のテレビ局『グローボ』が中継している。2016年から続いた契約を更新するにあたって、フラメンゴ側は公式声明で『グローボ』が2016年当時と全く同じ条件を提示してきたことに触れた。「昨年、リオ州選手権、全国選手権、コパ・リベルタドーレスと3冠を達成した状況を考えると、合意できるものではない」とし、「2020年リオ州選手権では、フラメンゴの試合は地上波、CSやBS、ケーブルテレビ、そしてペイパービューでも一切放送されることはない」と発表した。

 そして「放送がなくても、クラブは2019年に3つのタイトルを獲得したのと同様、今シーズン補強した新戦力も含めた完璧なチームをピッチに送り込む」と約束した。

 報道によると、『グローボ』はフラメンゴに対し、リオ4大クラブの残り3つであるフルミネンセ、ボタフォゴ、バスコダガマと比べて倍近い金額を提示したが、フラメンゴの要求額とは大きな開きがあるという。

 『グローボ』側も「すべての参加チームに対するバランス感覚を尊重すること」によってフラメンゴ側の要求が飲めないこと、その上で、今後も交渉を続けていくことを公式に発表した。

ラジオ、ネット、公式チャンネル

 では、サポーターはどのようにフラメンゴの試合を楽しめばいいのか。1つはブラジルサッカーの伝統であるラジオ中継だ。テレビ視聴が難しかった時代はもちろん、何かをしながらでも、屋外や車内などどこでも聞ける、という理由で、今なおラジオ実況のファンは多い。インターネットにライブで音声がアップされる今はスマートフォンでも中継を聴けるので、より手軽になっている。

 もう1つはインターネット。各新聞社やスポーツ情報サイトが、試合のテキスト速報をリアルタイムでアップし続けている。

 そして、最も重要な役割を果たしているのがクラブの運営する『FLA TV(フラTV)』だ。スタジアムでは実況アナウンサー、解説者、リポーターが、通常のテレビ中継と同じようにYouTubeで放送をスタートする。クラブ公式の強みを生かし、選手の単独インタビューを挟んだり、移籍直後でまだ試合に出ていない選手が登場したりする。スタンドのサポーターの声や表情も伝える。

 試合中も実況、解説、リポーターの音声は続くが、選手入場からは映像がスタンドのサポーターと放送ブースの出演者のみになる。クラブ公式とは言え、試合自体の映像は生中継できないルールだからだ。

 試合後は選手や監督のインタビューなどを見せながら、独自映像によるハイライトシーンを紹介する。視聴者はここで初めてプレー映像を見ることができる。

 この生中継により、『FLA TV』のフォロワーも中継の視聴回数も大きくアップしている。第2節バスコダガマ戦では、相手も『VASCO TV (バスコTV)』で同じような対応をし、番組史上最高となる視聴回数を記録したという。

サポーターはクラブの姿勢を支持

 メディア関係者の間からは、テレビ業界不況の真っ只中、市場の高騰を不安視する声も上がっているが、全体的にみると案外、楽観的だ。

 「『グローボ』とフラメンゴは、お互いに重要な存在。どこかで折り合いを付けるだろう。両者のスポンサーにとっても、放送されることに価値があるんだから」

 ただ、今のところフラメンゴ側のスポンサーは、クラブの方針を支持する姿勢らしい。昨年の好成績によってスポンサー料がアップしたのだから、放映権料もアップするべきだ、という意見もあり、少なくとも現時点では、テレビ中継がないことを理由にスポンサー料を減額するという話は出ていないという。

 そして、サポーターはどうか。少なくともリオっ子達は、これまたクラブに理解を示しているようだ。

 「3冠達成はもっと尊重されるべきだ」という声はもちろん「例年のペイパービューの加入者は、フルミネンセ、バスコ、ボタフォゴの3チームを合わせた数よりもフラメンゴ1チームの方が多い。それだけ貢献しているのだから、『グローボ』はもっと払っていい」などと、一般のサポーターが情報を披露してくれる。

 試合は見たいが、それ以上にフラメンゴの誇りが勝る。そんなサポーターの思い入れの深さが垣間見えるシーズンの幕開けだ。


Photo: Getty Images

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Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。

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