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ウルグアイでサポーターが銃殺される。歓喜の直後に起こった悲劇

2019.12.19

 12月15日、人口340万人の小さなサッカー大国が深い悲しみに襲われた。ウルグアイの強豪ナシオナルのリーグ優勝を祝うため街に繰り出した24歳のサポーターが、銃弾を受けて命を落とすという事件が起きたのだ。

突然、何者かが群衆に発砲

 この日、エスタディオ・センテナリオで行なわれたウルグアイ1部リーグ年間総合優勝決定戦で、ナシオナルはライバルのペニャロールに1-0の勝利を収めてチャンピオンに輝いた。降りしきる雨の中で両者とも決め手を欠き、後半はともにロングシュートに頼る場面が目立ったが、ナシオナルは81分、CKからの攻防戦を経てゴール前に攻め上がっていたマティアス・スニーノが得点をマーク。これが決勝点となり、優勝が決まった瞬間、センテナリオはナシオナルサポーターたちの歓喜の歌声に包まれた。

 サポーターたちは優勝を祝うためそのまま大通りに繰り出し、スタジアムに行けなかったファンも街で合流。センテナリオから市の中心地に続く大通りが大勢のナシオナルサポーターで賑やかになり始めていたちょうどその時、突然何者かが群集に向って発砲。サポーター2人が撃たれ、そのうちの1人ルーカス・ラングハイン(24歳)は病院に運ばれたものの死亡が確認され、もう1人は重傷を負った。

ライバルサポーターの犯行か?

 サポーター集団が歌いながら大通りを歩いている様子を住人が撮影した動画には、6発の銃声が鳴り響いた後、しばらくしてから担架で運ばれる犠牲者が映されている。また、別の場所で記録された映像は事件の容疑者と思われる人物が銃を撃った瞬間を捉えており、それによると容疑者は一旦ナシオナルのサポーターたちに背を向けて逆方向に歩いていたが、突然振り返って遠距離から発砲し、その後、現場から走り去ったことがわかる。

 発砲した人物の着ているジャケットがペニャロールのものであったという見方から、ライバルチームのファンによる攻撃だったという説もあるが、検察官は「この映像からそれが確実にペニャロールのジャケットであるかどうかを判明することは難しい」と話している。

 サポーターたちが歩いていた大通り沿いではパトカーで出動した警察が警備にあたっており、暴動が起きないよう警戒していた。祝い方も大声で歌い車のクラクションを鳴らすというお決まりのもので、現場に居合わせたファンによると、その雰囲気は「比較的穏やかなものだった」とされている。それだけに、今回の非情な事件についてジャーナリストのエミリアーノ・コテロは自身のラジオ番組の中で「無差別テロのようなもの」と語った。

 警察は容疑者の特定を急いでいるが、事件から24時間経った時点でまだ逮捕者は出ていない。 


Photo: Getty Images

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Profile

Chizuru de Garcia

89年からブエノスアイレスに在住。1968年10月31日生まれ。清泉女子大学英語短期課程卒。幼少期から洋画・洋楽を愛し、78年ワールドカップでサッカーに目覚める。大学在学中から南米サッカー関連の情報を寄稿し始めて現在に至る。家族はウルグアイ人の夫と2人の娘。