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急に転がり込んできたEL出場権。合宿に会場探しにトリノが大忙し

2019.07.14

トリノ、“ミラン・ショック”で急ピッチ調整

 各チームともに、プレシーズンの合宿に入ったイタリア。11日、その先陣を切ってイタリア北部ボルミオで合宿中のトリノが、地元アマのボルミエーゼと練習試合を実施。エースストライカーのアンドレア・ベロッティの4ゴールなど前半で9点のリードを築き、18-1の大差で勝利した。

 アマチュア5部、プロリーグを含めた国全体のカテゴリーで見れば8部のクラブとは力量差があり、大勝という結果自体は大きな意味を持たない。ただ、仕上がりと戦術の浸透はかなり大事なものとなっている。特にトリノは、急ピッチでチームを仕上げなければならない状況だ。7月25日と8月1日に行われる、UEFAヨーロッパリーグの2次予選に参戦が決まったからだ。

 昨シーズンは7位でフィニッシュ。ところが5位でELに出場する予定だったミランが、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の規定違反によって出場権を剥奪されてしまう。従って6位で予備予選からの参戦となっていたローマが繰り上がってストレートインとなり、その権利がトリノに降りてきたというわけだ。トリノは急転直下で、2014-15シーズン以来、5年ぶりにELへ挑むことになった。

ホームグラウンドがない!

 嬉しいことではあるのだが、ロジスティック上は大変である。本来は13日から予定されていたボルミオ合宿の開始も7日に繰り上げた。さらに困ったことになったのが、ホームグラウンドである。ホームのオリンピコ・グランデ・トリノは8月1日まで使用ができないことになっていたのだ。

 オフシーズンはスタジアムコンサートが複数開催され、その後で芝の張り替えが行われる。困ったことに、デブレツェニとクケシとの勝者と対戦する25日の第1レグはホームゲーム。トリノは入れ替えを申し入れたが、UEFAに却下されてしまった。泣く泣く彼らは、同じピエモンテ州アレッサンドリアのスターディオ・ジュセッペ・モッカガッタで試合をすることになった。実はこれも苦渋の選択で、UEFAの規定に合わない席があるため集客はわずか4000人に絞られる。とはいえその期日で他に使用可能だったのは、500km以上も離れたウディネのダチア・アレーナという始末。結果、トリノは移動距離を取って近隣を選択した。アレッサンドリアに集えないファンのために、トリノ市内でライブビューイングを実施するのだという。

 昨シーズン後半戦の成績は4位相当で、戦力は十分にそろっている。ワルテル・マッツァーリ監督は3-4-3のシステムのもとより攻撃的なチームを構築中だ。バタバタで挑む予選を勝ち抜き、果たしてEL本戦へ挑むことができるか。


Photo: Getty Images

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トリノミラン

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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