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伊東純也だけじゃない!ヘンクで今見るべき7人

2019.04.26

ビッグクラブ移籍待ったなしの有望株たち

 2月に柏レイソルからベルギーリーグのKRCヘンク(以下ヘンク)へ移籍して以降、伊東純也が爆発的なスピードを武器に首位を走るチームの原動力となっている。

 日本におけるベルギーリーグの報道は、日本人選手中心に取り上げるため、スカパー!での放送を視聴しない限りは「クラブの名前は知っているけど選手は知らない」と思われがちだ。ベルギーリーグの注目度が上がっているとはいえ、日本人からの視点では、おそらく現地のファンが当たり前のように知っている昨年のリーグMVPであるMFハンス・バナケン(クルブ・ブルッヘ)などほとんど知られていないだろう。それほど、日本人以外の選手やチームは馴染みがないのが現状だ。

 ヘンクは若手育成と世界的なスカウティングでの発掘により、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、ティボー・クルトワ(レアル・マドリー)、ティモシー・カスターニュ(アタランタ)、カリドゥ・クリバリ(ナポリ)、レオン・ベイリー(レバークーゼン)、セルゲイ・ミリンコビッチ・サヴィッチ(ラツィオ)らを輩出しており、現在も注目株がそろっている。

「対戦相手に関係なく攻撃的に挑む」と明言しているフィリップ・クレマン監督率いるヘンクは、年間予算ではベルギー内で5番目の2500万ユーロながら、リーグ2位の74得点、ヨーロッパリーグでは14試合で36得点とゴールを荒稼ぎしている。そんな今のメンバーで試合ができるのは、残りわずか5試合。優勝すればチャンピオンズリーグ本戦からの出場になるものの、シーズン終了後に多くの選手が引き抜かれる可能性が高いため、ここで注目選手を挙げておきたい。

ヘンクはポジションチェンジとスプリントを繰り返す攻撃サッカーが持ち味

Leandro TROSSARD
レアンドロ・トロサール

MF14|ベルギー代表
1994.12.4(24歳)

 ワールドカップ後の2018年9月にベルギー代表入りを果たした、ヘンク生え抜きの左ウイング。ヘンクの下部組織出身で、12年のデビュー後、4年の武者修行を経て、16年にヘンクのトップチームへ復帰した。主戦場は左ウイングだが、頻繁にポジションを入れ替わりながら、ドリブル、スルーパスで局面を打開する。3月にトロントへ移籍したスペイン人MFアレハンドロ・ポスエロに代わり、キャプテンに就任。アーセナル、ボルシアMG、ボルフスブルクなどが獲得に興味を示す。

Sander BERGE
サンダー・ベルゲ
MF25|ノルウェー代表
1998.2.14(21歳)

 まだ21歳ながらノルウェー代表で12試合に出場している193cmの大型センターハーフ。17年1月にレスターへ移籍したMFウィルフレッド・エンディディの後釜としてノルウェーのバレレンガから獲得し、加入当初から不動のアンカーとして活躍中。190cm超えの体格を活かしたキープ力、中盤でのボールの回収力が光り、パスワークの中心も担うオールラウンダー。アーセナル、トットナムなどが興味を示す報道があった。マルティン・ウーデゴールとともにノルウェーの未来を担う。

Ruslan MALINOVSKYI
ルスラン・マリノフスキー
MF18|ウクライナ代表
1993.5.4(25歳)

 ウクライナ代表では不動のセンターハーフ。名門シャフタール・ドネツクのユース出身で、複数のクラブでの武者修行の後、16年1月にヘンクへ移籍。今シーズン途中まで守備的MFでプレーしたが、ポスエロの退団により、プレーオフからはトップ下に定着。卓越したテクニックでチャンスメークした前任者と異なり、フィジカルの強さを活かしたキープ力と左足からの強いキック力でピッチを幅広く展開する。

Mbwana Ally Samatta
ムブワナ・アリー・サマッタ
FW10|タンザニア代表
1992.1.7(27歳)

 16年にコンゴ民主共和国のマゼンベからヘンクに加入したタンザニアサッカー界の最高傑作。並外れたスピードとスタミナ、跳躍力を誇り、スプリントを繰り返すセンターフォワード。今シーズンはゴール前での冷静さが冴えわたり、現在22ゴールで得点ランク首位を走る。巧みなポジションチェンジでスペースを作り、味方選手へのお膳立てにも貢献するなど、チームプレーにも徹する。過去にドルトムント、CSKAモスクワなどが獲得に興味を示した。

Joakim Maehle
ヨアキム・メーレ
DF31|U-21デンマーク代表
1997.5.20(21歳)

 17年にデンマークの名門オールボーから加わり、加入当初からレギュラーに定着したU-21デンマーク代表。激しい上下動を繰り返す右サイドバックで、カットインからのミドルシュート、ゴール前まで飛び込むなど、ウイング並みの攻撃性能を備えている。伊東とは彼のデビュー戦からいち早く連携を確立させている。

Jhon Lucumi
ジョン・ルクミ
DF33|コロンビア代表
1998.6.26(20歳)

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Welcome Jhon Lucumi! 🔵⚪👏👏 #krcgenk #samengenk

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 弱冠20歳にしてコロンビア代表にも選出されているセンターバック。昨年6月に名門デポルティーボ・カリから加入。欧州では需要が高まっている左利きのセンターバックで、正確なフィードで攻撃を活性化。粗削りでまだミスは多いものの、長いリーチを活かした守備力で、CBでコンビを組むセバスティアン・デワーストとともに手薄になりがちな守備陣を支える。

Bryan Heynen
ブライアン・ヘイネン
MF28|U-21ベルギー代表
1997.2.6(22歳)

 地元ヘンクの下部組織出身のセンターハーフ。トップチーム昇格4年目になる今シーズン、ポスエロ、マリノフスキー、ベルゲに次ぐ「第4のMF」として活躍。ケガが多いベルゲとのターンオーバー要員として起用されたこともあり、主に守備的な役割を果たすことが多かったが、プレーオフからベルゲとの共存を果たすと、攻撃時には最前線へと駆け上がり、ハイボールのターゲットマン、ポストプレー、ゴール前への飛び出しと、多彩な役割をこなす便利屋として覚醒し、伊東とともにサプライズを起こした。

未来のスター候補が集まるベルギー

 育成に力を入れ、世界中から優秀な選手をスカウティングし、将来のスター候補が集まるベルギーリーグ。欧州5大リーグのようなレベルには敵わず、国際的な知名度を誇る選手はほとんどいないのはたしかだが、逆にこれから名前を売っていく選手を先取りする楽しみはベルギーリーグならではと言える。

 そのベルギーのクラブの中でも、最も成功を収めているのがヘンクというクラブだ。年間予算2500万ユーロと決して大きくないクラブの規模から、来季も同じクオリティを維持できるかという保証はない。だからこそ、残り5試合で、より多くの人にヘンクのサッカーを見て楽しんでほしい。

Photo: Getty Images

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ヘンク伊東純也

Profile

シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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