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キエッリーニ、ユベントス退団。クラブは入閣を希望も本人は現役続行の意思

2022.05.19

 ユベントスの主将であるイタリア代表DFジョルジョ・キエッリーニが、今季限りで選手としてクラブを退団することとなった。

ホーム最終戦でセレモニー実施

 カタールW杯出場を睨み、一旦はクラブとの契約を2023年6月まで延長していた。ところがイタリアが3月のプレーオフで敗退。故障の影響もあって出場機会は減っており、今季のリーグ戦の先発出場も第36節ジェノア戦までは13試合に留まっていた。クラブには再考の意思を伝えており、5月12日のコッパ・イタリア決勝の後「自分のやるべき貢献は果たしたと思っている。あとは後進に託す」と退団の意思を公にした。

 5月16日には、今季最後のホームゲームとなった第37節ラツィオ戦で先発出場。自身のユベントス所属年数と同じ数字である開始17分のところでマタイス・デ・リフトと交代し、観客のスタンディングオベーションの中でピッチから降りた。試合終了後には退団セレモニーも実施され、アリアンツ・スタジアムに別れを告げた。

 注目されるのは退団後の去就だ。クラブはキエッリーニがフロントとして“入閣”することを希望している。アンドレア・アニェッリ会長は「ジョルジョにはクラブでのポストが用意されている。あとは彼自身がいつ、そこに着くか決めるだけだ」と明かし、またパベル・ネドベド副会長も「彼は世界的なアイコンだし、あとはそれがジョルジョにとってそれが幸せな選択であるかどうかというだけのこと。我われは扉を開いているし、彼に決めさせたいと思っている」と歓迎した。

現役続行を希望、行き先はMLSか

 しかし本人に近しい者によれば、キエッリーニにはもう少し現役続行の意思があるという。実妹であるクロトーネ女子DFシルビア・キエッリーニは5月18日付の『トゥットスポルト』のインタビューで「ピッチでプレーすれば差は見せられるけど、サイクルは終わるもの。1日もあればフィジカルが回復していたものが、今は1年掛かる。残念だけど、ジョルジョのやってきたことは誇りに思う。代表でもユベントスでもキャプテンを務めるなんて簡単なことじゃない」と兄の決断に理解を示しつつ、「まだ(現役を)辞める準備はできてない。今もアドレナリンと、自分の情熱を耕し続けることを必要としていると思う」と語った。

 また、代理人のダビデ・リッピ氏は「彼とユベントスとの間にあったのは愛の物語のようなもの。セレモニーではみんなが感動する中で彼だけが落ち着いていたが、多分実感していないんじゃないかと思う」としつつ、「ジョルジョはアメリカに行く。大学で経済を学び、海外でも学びたいとも言っていたから、明日のユーベにも役に立つと思う」とMLS挑戦の可能性を明言した。民放TV『メディアセット』によれば、ロサンゼルスFCとの合意が濃厚だという。


Photo: Getty Images

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Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。

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