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地元警察のストライキで試合開催延期。混沌のスタンダール・リエージュ

2021.12.19

 ベルギーリーグは、12月15日に開催予定だったスタンダール・リエージュvsベールスホットの延期を発表した。

地元警察がストライキ

 理由は、スタンダール・リエージュのホームスタジアム「スタッド・ドゥ・スクレサン」の警備に配属される予定だった160人の警備員がストライキを起こしたこと。これによって試合開催が不可能となった。

 原因となったのは、12月5日にスクレサンで開催されたスタンダール・リエージュvsシャルルロワ。この試合でスタンダール・リエージュのサポーターが暴動を起こしており、その後の試合で配属される予定だった警備員たちが「安全を確保できない」と警備を拒否したのである。

 ストライキを受けて、リエージュ市のウィリー・デマイエル市長は12月14日、今後しばらくの間、スクレサンへの警備員の派遣を取りやめることを発表した。

発端は惨敗した「ワロンダービー」

 スタンダール・リエージュとシャルルロワは同じフランス語圏のワロン地域をホームとしている。両チームの試合は「ワロンダービー」と呼ばれ、国内でも最も過激なダービーマッチだ。

 両者の対戦成績は国内有数の名門であるスタンダール・リエージュが圧倒しているが、近年は財政健全化によって着実に力を付けてきたシャルルロワが追い上げている。スタンダール・リエージュにとってはワロン地方の盟主の座を守るためには負けられない対戦であり、主要タイトルがない新興勢力のシャルルロワにとっては、スタンダール・リエージュは目の上のたんこぶだ。

 その試合は、21分にアウェイのシャルルロワがジャマイカ代表FWシャマー・ニコルソンのゴールで先制すると、39分にはスイス人DFステファン・クネゼビッチが追加点を奪い、試合を優位に進めていた。

 ホームチームの不甲斐ない試合に激怒したスタンダール・リエージュサポーターは発煙筒を投下し、試合は中断。混乱の中、59分に再びニコルソンがゴールを挙げると、終盤にはスタンダール・リエージュサポーターが再び発煙筒を投下し、ピッチ内へも数多くが乱入して混乱を招いたため、試合は87分で中断が決定した。

混迷極める「レ・ルーシュ」

 今年で創立123年を迎えるスタンダール・リエージュ。リーグ優勝10回、カップ優勝8回を誇り、1982-83シーズンのUEFAカップウィナーズ・カップでは準優勝に輝くなど、アンデルレヒト、クルブ・ブルッヘとともにベルギー屈指の名門クラブだ。

 しかし近年はタイトルとは無縁で、ベルギーリーグはスティーブン・デフール、アクセル・ビツェル、エリキアン・マンガラを擁した2008-09シーズンを最後に優勝から遠ざかっている。ミシー・バチュアイがゴール量産し、日本代表GK川島永嗣が安定した守備を引っ張っていた2013-14シーズンは、序盤から首位を独走し、優勝への期待も高かったが、プレーオフで宿命のライバルであるアンデルレヒトに大逆転優勝を許した。そして、それ以降は優勝戦線から遠ざかっている。

 今季はクラブOBであるセネガル人のエムバイエ・レイエ監督の下で開幕を迎えたものの、スタートダッシュに失敗してチームは低調。12位となった10月5日にレイエ監督を解任し、コルトレイクを指揮していたスロバキア人のルカ・エルスネル監督を招聘。しかしチーム状況が回復することはなく、第19節終了時点で11位と低迷している。

 近年はクラブの深刻な財政難により、開幕前は一時的に選手獲得を制限されるなど厳しい状況が続いている。今夏にキャプテンのジーニョ・ファンフースデンをインテルへ、期待の若手のミシェル・アンジェ・バリクビシャをアントワープへ放出。今冬にはベルギー代表入りが期待される右SBユーゴ・シケのフライブルクへの売却が決定し、戦力低下の流れは止められない状況だ。

 かつてはデフール、ビツェル、フェライーニを擁し、2007-08シーズンはシャルルロワに敗れた1敗のみと無類の強さを発揮した名門スタンダール・リエージュ。今後のホーム戦開催の見通しも立たず、負のスパイラルから抜けられない状況が続く。


Photo: Getty Images

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Profile

シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。