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リーガ残り2節、有観客での開催が決定…ただし5試合だけが対象

2021.05.16

 2節を残すスペイン1部リーグのスタジアムに観客が帰って来ることになった。昨年3月以来、1年2カ月ぶりである。

5つの州で観客受け入れ許可

 ワクチンの接種が進んでいる――人口の14.7%が2本接種終了、31.4%が少なくとも1本の接種終了――おかげで、状況は劇的に改善している。10万人当たりの直近1週間の累計感染者数は70.09人と、日本で最悪の北海道68.06人(NHK調べ)と同レベルなのだが、重症化する者の割合が減っている。

 例えば、5月14日の新規感染者数は6347人で死者は58人、日本は6262人で死者は81人。日本の人口はスペインの人口の約2.7倍なので、新規感染者の発生率はスペインの方がはるかに高い。が、新規感染者はほぼ同数なのに死者数は3割ほど少ない。

 先日、59歳の私にも1本目接種の順番が回ってきたが、重症化リスクが高いとされる高齢者(65歳以上)の接種率が9割を超えたことが、感染拡大の割に死者が少ない理由だとされている。

 日常生活上でもずい分変わった。9日に非常事態宣言が解除。半年ぶりに県外移動が可能になり、夜の外出禁止もなくなった。30度を超える暑さになる地中海沿岸のビーチは今週末、人であふれかえるだろう。そんな楽観的な空気の中で、今回スポーツ高等委員会が有観客開催を許可したのだった。

 とはいえ、スタジアムに観客を入れることを許されたのは、感染率が特に低いガリシア州とムルシア州、バレンシア州、エクストレマドゥーラ州、バレアーレス州だけ。

 1部リーグ参戦クラブで、これらの地にホームスタジアムがあるのはバレンシア、ビジャレアル、エルチェ、レバンテ、セルタの5クラブのみで、カードで言えば5月16日開催のバレンシアvsエイバル、ビジャレアルvsセビージャ、21日、23日の最終節レバンテvsカディス、エルチェvsアスレティック・ビルバオ、セルタvsベティスの5試合だけが対象。ホームのファン限定で5000人という上限もある。

観光客受け入れへのアピールか

 閉幕2節前というコンペティション的に微妙なタイミングで発表されたのは、「スペインはコロナ禍から回復している」というアピールだろう。来月から本格化するバケーションシーズンに向けて、観光立国のこの国では安全性を世界に訴えイギリスやフランス、ドイツの観光客に来てほしいのだ。

 一部だけ有観客というのは「不公平」という声は当然上がっている。

 レアル・ソシエダのイマノル・アルグアシル監督は「酷い。コンペティションの公正さを明らかに損なう」としながらも「我われが決めることではないから、受け入れるしかない」と諦め顔。一方で、セビージャのジューレン・ロペテギ監督のように「観客が戻って来ることはいずれにせようれしい」という寛大な声もある。

 『マルカ』紙のアンケートでは「全スタジアムで一斉でなければ不公平」という意見が53%、「大変良いニュース」というのが47%となっている。

 欧州カップ戦の出場権や残留に影響する試合――残り2節の20試合中19試合――は、いつもの通り一斉開催となる。他スタジアムの結果を知ってプレーすることによる不公平が起きないように配慮しているわけだ。

 そう考えると、5000人のファンの声援というのは無視できないもののようにも思えるし、空席だらけで大した影響はないようにも思える。久しぶりの感覚を楽しみながら、5試合を見守ってみたいと思う。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。