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アタランタに起きた異変。監督とキャプテンの衝突は修復不可能か

2020.12.22

 アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は12月19日、翌20日のセリエA第13節ローマ戦の招集メンバーから主将のアレハンドロ・ゴメスを外した。

激しい口論の末、構想外に

 両者の間には確執が顕在化していたと伝えられていた。地元メディアによれば、失点がかさんだことを受けての戦術変更をガスペリーニ監督が画策し、アルゼンチン代表への遠征も重なったゴメスの負担も解消しようと運動量を減らす提案をしたという。

 しかしこれにゴメスが激しく不満をあらわにし、両者は激しい口論に至ったとされている。そして12月6日のウディネーゼ戦(悪天候により延期)の招集メンバーからは外され、UEFAチャンピオンズリーグのアヤックス戦では起用されたものの、続く13日のフィオレンティーナ戦では出場機会がなかった。

 その一方で、ゴメス自身はSNSを通じて「自分が出ていくことになったら真実が明るみに出ること思う」と確執の存在を示唆。また、ベンチスタートとなった16日のユベントス戦では試合前に流されるユベントスの公式応援ソングを笑いながら歌い、同情的だったファンに反感を与えた面もあった。

 そんな彼に対して、ガスペリーニ監督やクラブも態度を硬化させた。『コリエレ・デッロ・スポルト』によれば「ゴメスも自分が間違っていたと自覚し謝ったものの、メディアを通した非難の空気を彼が作り出したことをクラブ幹部はよく思ってはいなかった」という。

 ガスペリーニ監督は19日の記者会見の中で「サッカーの話をしよう」と直接の質問を避けようとした一方、「ウチにはキャプテンとなれる存在の選手が複数いる」「1月に我われの下で満足してやってくれる選手がいれば」などと、ゴメスとの距離を感じさせる発言を行った。

ゴメス抜きでも戦えることを証明

 かくして12月20日のローマ戦はゴメス抜きで戦うこととなったが、チームは4-1で勝利した。前半に先制を許し、相手の最終ラインをこじ開けるのに苦労したが、後半から流れが一変。ファンタジスタのヨシップ・イリチッチが1ゴール2アシストと大活躍を見せた。

 ゴメス抜きでもフィニッシュワークでのクオリティを落とさないことをチームは証明した。そしてガスペリーニ監督は試合後の記者会見で改めて「(アントニオ・)ペルカッシ会長まで怒らせてしまうのは違う」と、ゴメスに対するクラブ側の厳しい態度を改めて突き付けた。

 高い技術で近年のアタランタの躍進を演出したゴメス。外国人ながら主将を務め、若手の手本となってきた彼への信頼を、チームメイトたちはまだ失っていない。FWドゥバン・サパタは地元メディアを通し「まだ僕たちと一緒にいるし、僕たちのキャプテンだ。行ってしまったわけじゃないし、また同じピッチに立つことを願っている」とメッセージを発した。

 もっとも、そのゴメスには実際に移籍の噂も浮上している。近場にいるインテルのピエロ・アウジリオSDは衛星テレビ局『スカイ・スポーツ』に対し「他人の問題に首を突っ込むのは避けたい」としつつ「何かがうまくいってないのは察知しているし、ゴメスは評価している」と興味は否定しなかった。


Photo: Getty Images

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アタランタアレハンドロ・ゴメスジャン・ピエロ・ガスペリーニ

Profile

神尾 光臣

1973年福岡県生まれ。2003年からイタリアはジェノバでカルチョの取材を始めたが、2011年、長友のインテル電撃移籍をきっかけに突如“上京”を決意。現在はミラノ近郊のサロンノに在住し、シチリアの海と太陽を時々懐かしみつつ、取材・執筆に勤しむ。