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とにかく「1対1で勝つ」。懐かしの“ゲルマン”なドイツ代表

2018.07.18

至高のチームをWCCFで再現!私のベストイレブン


15周年の節目を迎えたWCCF。醍醐味である国やクラブ、時代を超えた自分だけの“ドリームチーム”作りはもちろんのこと、自分が好きな国やクラブの選手を集めて最高のチームを作る“○○縛り”も楽しみ方の一つとして定着している。その長い歴史の間に積み重ねられてきた百花繚乱のカードを使って、一家言あるフットボリスタ執筆陣が選ぶ最高の○○チームを、ここに再現する。

#6 遠藤孝輔さんが選ぶ至高のドイツ代表

 絶対に外せないのが“皇帝”ベッケンバウアーだ。筆者はこのドイツ史上最高のフットボーラーをリアルタイムで観たわけではない。90分間プレーしている姿を観たのは1999年のこと。その時の衝撃は今でも忘れられない。試合は1974年W杯の決勝。オランダのクライフと西ドイツのベッケンバウアーが醸し出すオーラとエレガントなプレーの数々に心を奪われたのだ。四半世紀という時を越えて、自国とまるで関係のない極東のサッカー少年(当時高校1年だった)を魅了してしまった――それが真っ先に選出した理由である。

 リベロというポジションを確立したベッケンバウアーを起用する以上、最終ラインは3バック。脇を固めるのはコーラーとノボトニーだ。1対1で無類の強さを発揮する前者には相手エースを封じ込める役割だけを与えて、ベッケンバウアーが安心して攻撃に絡める余裕を作り出してもらう。カバーリングに長ける後者は、コーラーが仕留め損ねた敵に対応するのが重要な仕事。同時に自慢のフィードで攻撃のアクセントもつけてもらう。ノボトニーと同タイプのフンメルスの方がクオリティの高いプレーを見せてくれそうだが、ルックスの良さで皇帝を食いかねないのでベンチ止まり。

 中盤の底に配したのはイタリアW杯制覇の立役者である2人。その大会の決勝でマラドーナを封じ込めたブッフバルトには、エースキラーとしての働きとセットプレーでの得点を求める。ベッケンバウアー同様に私情たっぷりにはなるが、筆者が幼少期に浦和レッズのファンだったことも選出理由だ。もう1人のセントラルMFは、90年のバロンドールを受賞したマテウスか、ドイツ史上最多のCL優勝4回を誇るクロース。非常に悩ましいところだが、このチームの戦術コンセプトは「1対1で勝ちまくる」。スマートな司令塔ではなく、非凡なダイナミズムとスピリットで攻守に奮闘する“闘将”を選んだ。


新カードをぜひ! 悲運の天才

 右ウイングバックはラームを置いて他にいない。14年夏の代表引退時、グアルディオラが「指導してきた中で最も才能あふれる選手の一人」と賛辞を送った名手は、その人柄の良さでもリスペクトを集めたレジェンド。ベッケンバウアーやマテウス、クリンスマンという強烈な個性が反目し合わないように、キャプテンの重責を担ってもらう。逆サイドにブライトナーを選んだのは、これまた私情全開の理由から。もちろん、74年と82年のW杯決勝でゴールを挙げた実績も考慮しているが、このレジェンドには3度会った経験がある。いつでも丁寧に、真面目に質問に答えてくれたのが印象深い。あのいかつい風貌と眼光の鋭さはちょっぴり怖かったけれど、サイドで対峙する相手をビビらせるにはもってこいだ。

06年、バイエルン時代のラームとダイスラー

 とにかく「1対1で勝つ」がテーマなので、エジルやネッツァーのようなパサーは配さない。2シャドーはドリブルで局面を打開できるリトバルスキーとダイスラー。前者は直接FKによるゴール、後者は味方にピタリと合わせるプレースキックも期待できる。個人的に思い入れが強いのはダイスラーだ。とにかくケガに泣かされ、うつ病に苦しみ、パフォーマンスの浮き沈みが激しかったが、好調時は誰も止められなかった。WCCFで新カードが誕生したら、確実に我がチームの中軸に据えるつもりだ。

 そして、最前線にはクリンスマン。98年W杯のイラン戦で決めたダイビングヘッドは今でも脳裏に焼きついている。あのゴールへの凄まじい執念を、現代表のエースFWであるベルナーが見せるようなら、ドイツがロシアW杯を制する可能性は少なからず高まると思ったのだが……。もちろん、GKの概念を変えた超人ノイアーの活躍にも期待したい。


■『WCCF』 基本情報

商品名 WORLD CLUB Champion Football 2017-2018
ジャンル スポーツカードゲーム
公式サイト http://www.wccf.jp/


全国のゲームセンター等で絶賛稼働中!


■WCCFで再現!私のベストイレブン
#1 頂点を極めた歴代ラ・ロハ以上!華麗なる”最光”スペイン代表
#2 取られた以上に取ればいい。破壊力なら宇宙一のセレソン
#3 「ポゼッション下手」よさらば。PK戦も心配無用のイングランド
#4 「10番が多いほど美しい」。「個」>「組織」がアルゼンチン
#5 W杯優勝98年組と現代表+α 華麗な“おたわむれ”レ・ブルー


Photos: Getty Images, Bongarts/Getty Images

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WCCFドイツ

Profile

遠藤 孝輔

1984年3月17日、東京都生まれ。2005年より海外サッカー専門誌の編集者を務め、14年ブラジルW杯後からフリーランスとして活動を開始。ドイツを中心に海外サッカー事情に明るく、『footballista』をはじめ『ブンデスリーガ公式サイト』『ワールドサッカーダイジェスト』など各種媒体に寄稿している。過去には『DAZN』や『ニコニコ生放送』のブンデスリーガ配信で解説者も務めた。

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