3月の英国遠征で2戦連続の「0-1」勝利に貢献し、評価を上げた選手の一人が中村敬斗だろう。「本当に大事な試合だった」と本人が振り返るイングランド戦。フランスでスタッド・ランスの背番号17を取材する小川由紀子さんが、今回はウェンブリー・スタジアムから日本代表の背番号13を現地レポート!
2部リーグで奮戦しているから、こその骨太な対人プレー
3月末に行われた今夏開催のW杯前最後の代表ウィーク、日本代表がスコットランド、イングランドと対戦した試合で、中村敬斗(スタッド・ランス)は輝きを放った。
1戦目のスコットランド戦では62分からピッチに上がると、伊東純也の決勝点につながる起点のパスを供給。そして2戦目、ウェンブリー・スタジアムでのイングランド戦では先発出場。三笘薫の中央突破に合わせた絶妙な走り出しでパスの受け手になると、際どいスペースに極上のパスを通して、三笘のゴールをアシストした。
⚡️⚡️ついについにこじ開ける⚡️⚡️
中村敬斗の展開からCBの鈴木淳之介が
アンダーラップで駆け上がり
塩貝健斗が落としたボールを
最後は #伊東純也 がネットに突き刺す‼️🇯🇵 #サッカー日本代表 国際親善試合
⚔️日本 v スコットランド
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カウンターからイングランドDF陣を崩す💪💪📱U-NEXT
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2試合とも左ウイングバックとして起用された中村は、攻撃だけでなく守備でも奮闘。サイドをアップダウンした走力に加え、両国の屈強な戦士たち相手の骨太な対人プレーが光った。
そんな中村については、「彼は本当に2部リーグの選手なのか?」「2部リーグにいるのはおかしい」といった声が、国内外で挙がっているようだ。
けれどむしろ、「2部リーグで奮戦しているから」、今回あのような光るプレーを見せられた部分もあったように思う(もちろん、昨夏に首尾良くステップアップの移籍ができていて、そこでグーンと成長、というシナリオもあったかもしれないけれど……)。
例えば両試合で評価された守備の部分。中村はスタッド・ランスでも守備に奔走する機会が多く、“守備重視でカウンター狙い”を決め込んでいた昨シーズンの終盤などは特に、彼がチームNo.1の走行距離を記録した試合がいくつもあった。相手にしているのは、フランスリーグの代名詞でもあるタフなフィジカル自慢たちだ。ゆえにスタミナ、デュエルともに、普段から散々鍛えられている。
攻撃でも、イングランド戦では開始3分に相手の右SBベン・ホワイトをブチ抜いて会場をどよめかせ、後半にもカットインからシュートという得意のパターンを繰り出した。
「あそこに関してはリーグ2でやっている成果が出たかなと思っていて、やっぱり1対1のシーンがリーグ2では圧倒的に多いし、今シーズンは1試合で5、6回は仕掛けるシーンがある」
本人もイングランド戦後にそう手ごたえを語っていた。ファンの間でも『敬斗ゾーン』と呼ばれているようだが、対面した相手を左右に振って抜き去りシュートに持ち込む、という動きは、今や彼のシグネチャームーブだ。
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そもそも中村がリーグ2でプレーしているのは本人の力量のせいではなく契約の問題だから、トップリーグ所属の選手と名乗って遜色ないレベルにある。
昨シーズン、リーグ2との入れ替えプレーオフでメスに敗れて降格が決まった後、主力選手の多くが新天地へと旅立つ中で、リーグ1復帰へのチーム立て直し要員として白羽の矢が立ってしまったのが中村だった。
巷で噂されているようなスポンサーの関与といったことは、実際に証言を取れていないのでわからないが、契約上の拘束力があったこと、そして何より、ジャン・ピエール・カイヨ会長は最初から中村を残すと決めていた。
番記者の話では、カイヨ会長は昔から「自分が出さない」と決めた選手については、どんな高額をオファーされようと絶対に耳を傾けないのだそうだ。
「そのために契約というものがある。世の中、なんでも自分の好きなようになるわけではない」
別の記者仲間は、会長から聞いたというそんなセリフを教えてくれた。至極ごもっともではある。
良くも悪くも中村は会長に惚れ込まれていたということだ。彼の立場からすれば、言葉はやや乱暴だが“貧乏くじを引いてしまった”とも言える。



「そこを見えているのがケイト」三笘薫も感謝の決勝弾
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
