バルセロナ脱退で終焉へ…欧州スーパーリーグ構想とは何だったのか?
サッカーを笑え #61
2021年4月の旗揚げから約5年、すでに死に体だった欧州スーパーリーグ構想についに終止符が打たれた。あのプロジェクト発表の大騒ぎから、批判を受けて次々とフォーマットを変えながら迷走し、CLに完全敗北するまでの一部始終を振り返る。
公然の秘密だったものが秘密ではなくなった。先週2月7日、バルセロナは素っ気ない公式声明を出した。
「今日FCバルセロナは欧州スーパーリーグカンパニーとその関連クラブに脱退することを正式に伝えました」
みなさんにとっては“欧州スーパーリーグ? そんなものまだあったの?”という感じだろうか。まだあったのだ。先月ジョアン・ラポルタ会長(当時)が「バルサとマドリーの関係はいろいろあって壊れている」と発言。宿命のライバルが手を取り合う異常な状態の終了が近づいていることは明らかだった。このタイミングでの発表は、3月15日に予定されている会長選挙に向けてラポルタ前会長(9日、選挙戦開始に合わせて辞任)が身辺整理をした、ということだろう。再選が確実視されているが、念には念を入れて腐れ縁を清算してイメージアップを図ったわけだ。
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欧州スーパーリーグ構想はこれで完全に終焉した。生ける屍となっていたが正式に死亡通知が出た。
覚えているだろうか? あの正式にプロジェクトがぶち上げられた日のことを。2021年4月18日、フロレンティーノ・ペレス会長が率いるレアル・マドリーが「欧州の主要クラブはスーパーリーグ創立を発表する」と声明を出した。主要クラブというのはレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・マドリー、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、チェルシー、マンチェスター・シティ、アーセナル、トッテナム、ユベントス、インテル、ミラン。発想は極めてシンプルだ。要は“ビッグクラブだけでリーグを作れば魅力的な試合ばかりになってマッチデーでも放映権料でもスポンサー収入でも大儲けができる”。実際、売上高はCLの倍と試算されていた。
このフロレンティーノ発言に構想の肝が凝縮されているので引用する。
「手遅れになる前に手を打たなければならない。新しい世代は別の娯楽、オンラインプラットフォーム、ビデオゲーム、SNS、他のスポーツに集中しようとしている。彼らはクオリティの高いコンテンツを求めている。欧州のコンペティションは彼らに強豪だけの試合を年間を通じて供給すべきだ。ナダルとフェデラーは15年間で40回対戦している。それが退屈だろうか? 彼らの対戦がテニス人気を作ったのだ。我われはリバプールと67年間で9回しか対戦していない。もしテニスをUEFAがオーガナイズしていればナダルとフェデラーの対戦は2、3回だった。UEFAはCLを重要ではない試合を増やすという正反対の方向へ導こうとしている。この新フォーマットはサッカーの停滞を促進するだろう」(2022年10月)
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。
