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ディズニーにもプレー原則がある。面白法人カヤックの「ゲームモデル」とは?

2020.10.22

面白法人カヤック人事部・みよしこういちインタビュー後編

ポルト大学のビトール・フラーデが提唱し、名将ジョゼ・モウリーニョが実践したことで欧州中に広まった「戦術的ピリオダイゼーション」。このサッカーのトレーニング理論を、スポーツとビジネスの垣根を越えて応用しようと試みているのが、「いちゲー採用」「エゴサーチ採用」などユニークな企画を続けるIT企業、面白法人カヤックだ。新たな採用戦略を手掛ける人事部のみよしこういち氏に、ビジネスから見る戦ピリの可能性を聞いた。

後編では、採用現場に応用しているゲームモデルについて解説してもらった。

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採用プロセスを4局面に構造化

――ここからは採用現場での戦術的ピリオダイゼーション導入について、詳しくお話を聞かせてください。まずは何から始められたのでしょうか?

 「僕たちは戦ピリの中からゲームモデルの考え方を抽出して応用しているんですけど、まずは採用のプロセスを構造化していきました。ゲームモデルで一番重要なのは、攻撃、ネガティブ・トランジション、守備、ポジティブ・トランジションといった局面の設定だと考えていて、ビジネスの言葉で言うMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)、『漏れなく・ダブりなく』の形にサッカーを構造化している。ただ、採用を母集団形成、選考、クロージングというような、よく使われるフレームワークで分解していくとダブりが起こってしまっていて。例えば、興味・関心を持ってもらって応募してもらうまでの母集団形成で志望度が高まっていると、クロージングでの内定承諾率が高まるんですが、両局面の役割がダブってしまっている。フローとしてはMECEなんだけど、状況把握の側面ではMECEになっていないなと」

――お話を聞いていて「いい守備からいい攻撃が生まれる」というサッカーの決まり文句を思い出しました。本来はサッカーも分けられない一つの流れのはずで、あくまでも4局面はわかりやすく簡略化したモデルに過ぎないという主張もあり、その構造については今も指導者の間で議論が続いています。

ダンディー・ユナイテッドの分析部門責任者、スティーブ・グリーブは8の字のモデルでサッカーのゲームサイクルを表している

 「ただ、サッカーは選手たちで自分たちが攻撃しているか守備をしているかどうかがわかると思うんですよ。先ほど説明したフレームワークとは別に、求職者の心理状態で局面を分けたりもしてみたんですが、それだとどの局面にいるのかわからないことがある。そうなると意思決定する前に状況が判断できないんですよね。だから、まずは客観的に判断できて、なおかつMECEになるように人数で局面を分けてみることにしました」

――具体的に、どのように分けていったのでしょうか?

 「面接やOB訪問だったらカヤックのメンバーが1人、求職者が1人で1対1。説明会やセミナーは求職者が2人以上いるので1対Nとなり、最近はオンラインとオフラインという区分けが生まれてきているので1対N/オンライン、1対N/オフラインと2つに分けています。あとは、採用キャンペーンや就活サイトといったコンテンツを求職者が見る場合は、カヤック側は0人で不特定多数の人にカヤックのことを知ってもらうので、0対Nというのも設定しました。そうして、1対1、1対N/オンライン、1対N/オフライン、0対Nの計4つの局面に分けています」

――そこからゲームモデルの作成に入られたと思いますが、サッカーの場合はチームの文化や選手が基になりますよね。カヤックさんの文化や社員には、どのような特徴があるのでしょうか?……

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Profile

足立 真俊

1996年生まれ。ウィスコンシン州立大学でコミュニケーション学を専攻。卒業後は外資系OTAで働く傍ら、フットボリスタを中心としたメディアで執筆・編集経験を積む。2019年5月より、footballista編集部の一員に。プロフィール写真は本人。Twitter:@fantaglandista