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【インタビュー】若林アナリストが明かす、欧州トップクラブの「分析・対策」の実情

2020.08.31

セビージャFC 若林大智アナリストインタビュー_後編

決勝で3度の大会制覇(UEFAカップ時代を含む)を誇るインテルを下し、6度目となるEL優勝を果たしたセビージャFC。そのスタッフ陣の中に、一人の日本人の姿があった。若林大智。現在、セビージャFCでアナリストを務めている彼に、同じくアンダルシア州に住む木村浩嗣さんがインタビュー。欧州の頂に立った喜びからアナリストという仕事の実態まで、たっぷりと語ってもらった。

後編では、アナリストとして実際にどんな仕事をしていたのかやセビージャというクラブの事情、そして自身のこれからの展望を明かす。

前編はこちら

アナリストの仕事

選手たちは、それ(ビデオ)を見ていれば何をしないといけないかわかる

――次に、今の仕事のことを聞きたいんだけど、アナリストというのはどういう仕事なの?

 「そうですね、アナリスト部門には自分を含めて4人なんですけど、今季自分がプロになれた一番大きな理由は、ロペテギ監督がアナリストを連れて来なかったこと。それでクラブが用意するということになって、昨季カンテラ部門のアナリストのトップだった、ラモン・バスケスがそのままスライドして就任することになったんです。昨季の最後にカパロス監督が就任したじゃないですか? その時にアナリストもいなくなったので、セビージャB(セビージャ・アトレティコ)からファン・アントニオ・グスマンが参加して2人になっていたところに自分が呼ばれたんです。

 ただ、シーズンをスタートしてみたらあまりにも仕事量が多くなってもう1人入れないと厳しい、となってホセ・アントニオ・ロメロというアーセナルにいたアナリストが入りました。アーセナルって監督交代があったじゃないですか? あのタイミングでフリーになったので声をかけて4人になりました」

――ウナイ・エメリと一緒にいたスタッフだね。

 「そうです。で、仕事内容なんですけど、一番大きな仕事は監督と選手のミーティングの準備です。試合に向けた戦術的なビデオを用意して選手たちにわかりやすく伝えられるよう、自分たちがソフトを使って編集するんです。その作業は他のことを放っておいてもやる一番重要な仕事ですね。監督も戦術ミーティングを重視する人ですし。……

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アナリストセビージャ若林大智

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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