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サッカーとは『ゼルダの伝説』である。複雑にも単純にもクリアできるゲームデザイン

2020.07.08

リレーコラム:「サッカーとは何か」を考える。#2 五百蔵容

6月1日、林舞輝著の『「サッカー」とは何か』、山口遼著の『最先端トレーニングの教科書』が同時発売した。2冊ともに、欧州で進んでいるアカデミックな理論体系(戦術的ピリオダイゼーションや構造化トレーニング)を読み解き、実践することをコンセプトにしている。こうした理論のバックボーンになっているのは「サッカーとは何か」という根源的な問いかけだ。そこでこの2冊を読んだ様々な論客にあらためてこのテーマについて聞いてみた。

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 林舞輝『「サッカー」とは何か』、そして山口遼『「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書』は、ヴィトール・フラーデの戦術的ピリオダイゼーション、パコ・セイルーロのバルセロナ構造主義、エコロジカルトレーニングなど、現代サッカーを支える、またはリードする諸思想の紹介、実践を扱っています。

 これら諸思想がもつ特質は様々あり、その多くは両書で解説されていますが、「サッカーとはいかなるスポーツか?という根本的な問いを基盤に、そこから想定される要素や構造を導き出し、実践へ繋げていこうという意思」というのもその1つでしょう。これは西欧における哲学や人文科学の伝統的なアプローチで、直接に先立つ構造主義や(フッサールの)現象学、古典的な認識論哲学などの考え方を学んでおけば、フラーデらの思惟と発展性をより正確に理解できることでしょう。もちろん、それらを学べばヘーゲルを、デカルトを、カントを、ライプニッツを、スコラ哲学を、ギリシャ哲学を、アリストテレスをプラトンを……と過去に遡り学習せねばならなくなるかもしれません。……

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「サッカー」とは何か「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書

Profile

五百蔵 容

株式会社「セガ」にてゲームプランナー、シナリオライター、ディレクターを経て独立。現在、企画・シナリオ会社(有)スタジオモナド代表取締役社長。ゲームシステム・ストーリーの構造分析の経験から様々な対象を考察、分析、WEB媒体を中心に寄稿している。『砕かれたハリルホジッチ・プラン 日本サッカーにビジョンはあるか?』を星海社新書より上梓。

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