SPECIAL

プレミア再開は「待つべき」。ドイツとは違う英国の実情

2020.05.21

先週末のブンデスリーガ再開は、リーグ再開に向け協議を続ける各国の動きを後押しするかもしれない。世界最高峰リーグであるイングランド・プレミアリーグも、6月の「リスタート」へ向け議論を活発化させている。だが、ことはそう単純ではない。国やリーグの意向と選手やファンの反応、そして自身も英国に住む一人としての所感を、在住ジャーナリストの山中忍氏に記してもらった。

  「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」とは、ウィリアム・シェイクスピアの手による『ハムレット』にある名セリフ。世界一の劇作家を生んだイングランドでは、世界的に人気のプレミアリーグを6月に再開すべきか否かが、サッカー界を超えた問題となっている。

 英国政府からして、早期の今季再開を望んでいる。ドミニク・ラーブ外相が、「国民の士気高揚に繋がる」と述べたのは5月5日。翌週の11日に、ボリス・ジョンソン首相が発表したロックダウン緩和方針の中でも、6月1日からは無観客を前提にプロスポーツの試合開催が許されることになっている。中でも、国内サッカー界のトップリーグが、最大のエンターテイメントビジネスであることは言うまでもない。国を挙げた積極姿勢の裏には、年に30億ポンド(約4000億円)を超す税収源となるプレミアの存在感もあるに違いない。……

残り:3,101文字/全文:3,650文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

コロナウイルスプレミアリーグ

Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

RANKING