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MLSにフォンタス。日本だけじゃない“バルサ印”の世界進出

2019.05.17

アンドレウ・フォンタス

名優たちの“セカンドライフ”

欧州のトップリーグで輝かしい実績を残した名優たちが、新たな挑戦の場として欧州以外の地域へと旅立つケースが増えている。しかし、そのチャレンジの様子はなかなか伝わってこない。そんな彼らの、新天地での近況にスポットライトを当てる。

from USA
Andreu FONTÀS
アンドレウ・フォンタス

 バルセロナのカンテラ、通称「ラ・マシア」は才能が次々とあふれ出る魔法の泉だ。バルサの主力として活躍できるのはひと握りだから、カンテラーノ全員がバルサのトップチームに定着できるわけではない。

 だがそれでも、ここで培った実力は世界中から求められる。マルク・バルトラ(ベティス)やマルク・ムニエサ(ジローナ)、マルティン・モントーヤ(ブライトン/イングランド)にジェラール・デウロフェウ(ワトフォード/イングランド)など今も欧州でプレーする選手もいれば、3月に開幕したJリーグに新天地を求めたセルジ・サンペール(ヴィッセル神戸)、イサック・クエンカ(サガン鳥栖)のような選手もいる。イニエスタを補佐すべくバルサからやって来たサンペールはいきなり巧みなパスでファンをうならせたし、バルサを出た後にトルコやイスラエルを経て来日したクエンカはデビュー戦で見事なゴールをマーク。“バルサ印”は世界のどこでも通用する一大ブランドだ。

チームの方針にフィット

 そんな中、今アメリカの地にいるのが、2013年までバルサに在籍していたフォンタスだ。昨年8月に5シーズンを過ごしたセルタからMLSのスポーティング・カンザスシティに移籍し、アメリカ中西部のミズーリ州にあるクラブでプレーしている。

 ポゼッションサッカーを志向するカンザスシティは過去にもバルセロナB在籍歴があるクリスティアン・ロバト、ジョルディ・キンティージャらが所属してきた経緯があり、現在もフォンタスとはラ・マシアで同じ時を過ごし、バルサBでチームメイトだったMFイリエ・サンチェスが在籍。そうした背景もあって、フォンタスはリーガからMLS行きを決めたのだった。

 フォンタスは、バルサ時代にプジョルやピケの後継者候補だった左利きのCB。冷静沈着な判断力と高いスキルを生かした知的なプレーが光る29歳は、カンザスシティのキャプテンで大黒柱のアメリカ代表DFマット・ベスラーのパートナー候補として大きな期待を背負う。「自信を持ってプレーするし、頭がいい。ボール扱いが巧く、ゲームをよく読める。(ベスラーとの)コンビも非常にいい感じさ」とはピーター・ベルメス監督のフォンタス評だ。

 シーズン途中の加入だった昨シーズンはベンチスタートが多かったが、2019年シーズンは2月のCONCACAF CLベスト16トルーカ戦の2試合、さらに3月3日のMLS開幕戦とシーズンインから連続して先発出場を果たすなど、チームにも馴染んできた。その後は残念ながら負傷による欠場が増えているものの、これから真価を発揮していくことだろう。

 いわゆる海外のビッグネームは不在のカンザスシティだが、昨季はレギュラーシーズンで西地区1位、リーグ全体で3位と好成績を残し、カンファレンスファイナルで惜しくもポートランド・ティンバーズに敗れたものの躍進を見せた。今季、目指すはもちろん13年以来3度目となるMLS制覇。そのうえで、フォンタスのような欧州で実績のある選手の経験値や、バルサ仕込みの後方から攻撃を組み立てていく能力は必要不可欠だ。

 バルサで学んだ“勝者のメンタリティ”を、アメリカの地でチームに伝えることができるのか。スペインを飛び出したバルサの元カンテラーノの挑戦に注目していきたい。

andreu fontas
CONCACAF CLトルーカ戦でジャンプ一番、ヘディングするフォンタス(右)。4月末にふくらはぎを負傷し現在は離脱中、早期復帰が待たれる

Andreu Fontàs
アンドレウ・フォンタス

(スポーティング・カンザスシティ)
1989.11.14(29歳)
185cm / 86kg DF SPAIN

2007 Girona
2008-12 Barcelona

andreu fontas

2012-13 Mallorca on loan
2013-18 Celta

andreu fontas

2018- Sporting Kansas City (USA)

Photos: Getty Images

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Profile

寺沢 薫

1984年生まれ。『ワールドサッカーグラフィック』編集部を経て、2006年からスポーツコメンテイター西岡明彦が代表を務めるスポーツメディア専門集団『フットメディア』に所属。編集、翻訳をメインに『スポーツナビ』や『footballista』『Number』など各媒体に寄稿するかたわら、『J SPORTS』のプレミアリーグ中継製作にも携わった。