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「最もエキゾチック」西村拓真をCSKAモスクワが獲得した背景

2018.10.23


 今夏、CSKAモスクワはチームの大変革期を迎えた。14年にわたってともに最終ラインを構成してきたイグナシェビッチとバシリ&アレクセイのベレズツキ兄弟が、昨シーズン終了後に現役を引退。中盤の守備の要だったベルンブロームや前線のムサ、ビチーニョらお馴染みだった選手たちも契約満了によりチームを去り、W杯でブレイクを果たした司令塔ゴロビンは新天地モナコへと旅立った。

 にもかかわらず、6シーズン連続CL本戦出場を誇る国内屈指の強豪の将来有望な若手を集める補強方針にブレはなく、相変わらず財布の紐は固い。今季の9人の新戦力には国際的にほとんど無名な20代前半の選手たちが並んだ。

 その中でも「最もエキゾチックな補強」とババエフ会長が語ったのが、西村拓真の加入だった。数年前から入念な調査を続けたうえで獲得を決めるのがクラブの通例だが、西村は急浮上した存在だった。関心の裏にはロシアW杯で「日本代表の面白いサッカーを目の当たりにした」ことが大きく作用したという。もちろん、かつてCSKAでプレーした本田圭佑の成功例も後押しとなった。そして何より、候補者の中で「最も安かった」のが決め手となった。

 国内リーグでは、結果も求めながら新たなチーム作りを進めるという難題がゴンチャレンコ監督に課せられている。ケガ人に悩まされるのもこのクラブの常で、昨シーズンから安定してプレーできているのはGKアキンフェエフとSBのマリオ・フェルナンデスのみ。様々な布陣を試している段階であり、新加入選手たちにとってはレギュラー定着へ向けてチャンスが広がっている状況とも言える。

 FW陣では昨シーズンのCLで自身初ゴールをマークした20歳のチャロフが高い決定力を見せ好調をアピール中。2トップを採用する場合はウルグアイ代表歴を持つアベル・エルナンデスがチャロフとコンビを組み西村はその控えという位置づけだが、ババエフ会長は西村を戦力が手薄な2列目のポジションで起用する可能性も示唆している。

 ゴンチャレンコ監督はCL開幕前、レアル・マドリーとローマが本命のグループを展望して「2位か3位を目指す。若い選手たちがCLの経験を次に生かしてくれたら良い」と現実的だったが、「彼らの若さと熱情が希望」と昨シーズンまでとの違いも強調していた。指揮官すらそのポテンシャルを計り切れていない未知数のチームは、「どうせまた4、5点取られて負けるだろう」と毎年繰り返される光景にうんざりしていたファンにも久々に新たな期待を抱かせている。

CLのGS第2節ではレアル・マドリーを撃破。強豪と同居したグループで首位に立ち、11-12以来となる決勝ラウンド進出を視野に見据えている


Photos: Takahiro Fujii, Getty Images

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CSKAモスクワロシア西村拓真

Profile

篠崎 直也

1976年、新潟県生まれ。大阪大学大学院でロシア芸術論を専攻し、現在は大阪大学、同志社大学で教鞭を執る。4年過ごした第2の故郷サンクトペテルブルクでゼニトの優勝を目にし辺境のサッカーの虜に。以後ロシア、ウクライナを中心に執筆・翻訳を手がけている。