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勝つのはAIか、それとも識者か。Jリーグ ガチ予想対決#1

2018.04.06

AIを用いてサッカーの戦況を予測し、Jリーグの試合結果を予想する世界初のAIサッカーシミュレーションメディア「WARP」。その革新的な取り組みでにわかに注目を集めているが、実際その予想精度はどれほどなのか。豊富な知識と取材経験を誇る『footballista』ジャーナリスト陣との予想対決を通して、AIサッカー戦況予測の実力に迫る。

第1回は、『エル・ゴラッソ』元編集長の川端暁彦さんが登場!


挑戦者:川端暁彦さん(サッカージャーナリスト)


 予想に先立ち、まずはWARPの仕組みについてプロジェクトの陣頭指揮を執る株式会社Sports AIの及部智仁代表取締役CEOから説明を受けた川端さん。将棋におけるAIを用いた局面解析や形勢判断の目ざましい進歩に注目していたそうで、「面白い」と興味津々。AIによる試合シミュレーションを見て、「自分が好きなチーム以外については知らないことも多いので、こうやって実際に動いているところを見ると相手の特徴がよくわかりますね」と、さっそくAI戦況予測のメリットを実感した様子だった。

 ここで、読者のみなさんにもWARPによるAIシミュレーションの仕組みを簡単に説明したい。WARPでは、1カードにつき100回試合のシミュレートを行う。ただし、その結果だけで予測を決めるわけではなく、現在の調子や相手の相性などソフトデータも考慮して最終的な結論を導き出す。toto 第996回では対象13試合中11試合を的中させ3等に相当する成績を残している(※現状WARPのAIはtotoを予測するために、13試合中5試合でダブル買いを選択するように作られている)。さらに、今週末の試合で使用するWARP AIデータは、2018シーズンの第1節から第5節までのトラッキングデータとスタッツデータとなる。これはつまり、より直近の試合でのパフォーマンスを基にシミュレーションが行われるということである。

 これを聞いた川端さんは「もし1等を何度も当てちゃったら、totoがなくなっちゃいますよ(笑)」と冗談を飛ばしていたが、余裕の表れかそれとも不安を隠すためか。

 説明を聞き終えたところでいよいよ予測対決へ。今回は、J1の5カードに絞ってプレビューしてもらった。


■横浜FM対川崎

 大注目の神奈川対決は、5試合の中で唯一WARPと川端さんの見解が一致した。

 WARPのシミュレーションを見てみると、今季から“マンチェスター・シティ風”のシステムを採用する横浜FMは、ピッチの幅を両ウイングが使いながらチャンスを作ってそこから1得点を挙げるも以降は決め手を欠いた。逆に川崎は、昨季優勝の原動力となった異端児・家長昭博の個人突破から再三好機を作る。ただ、2得点は左サイドに流れた中村憲剛が作って小林悠が決めたもの。

 この展開については「いかにもありそう」と川端さんも支持。続けて「シティ風の横浜FMで中に絞る“偽サイドバック”の動きから特徴的な働きをする左SB山中亮輔と、川崎のストロングポイントである右サイドの家長の駆け引き」を見どころとしてピックアップ。予想については「何とも難しいが、決定力の差で川崎Fが殴り勝つのでは」と締めくくった。

◯予測
「WARP」:川崎の勝利
川端さん:川崎の勝利


■札幌対名古屋

 「WARP」の予想は2-1でホーム札幌の勝利。シミュレーションでは開始直後からホームの札幌が押し込み、名古屋陣内での攻防が多くなる。ところが先制は名古屋。自陣深くでボールを奪ったところからカウンターで反撃。青木とジョーのコンビネーションで左サイドを持ち上がり、最後はDFを振り切ったジョーが決めた。ただ、均衡が崩れても試合の流れは依然札幌。後半に入りチャナティップ→都倉の流れで同点に追いつくと、再び左サイドのチャナティップが起点となり、パスを受けた菅が豪快なミドルを突き刺した。一方、「点の取り合いになりそう」と展開を読む川端さんの結論は2-3で名古屋の勝利。「どちらもセットプレーの練習を軽視する監督だけに、逆にセットプレーがカギか」と、勝負のポイントを挙げている。

◯予測
「WARP」:札幌の勝利
川端さん:名古屋の勝利


■G大阪対神戸

 川端さんが「両チームとも乗り切れていないだけに引き分けもありそう……」と悩んだ末にダブルで両チームの勝利を選択した難解なカードは、WARPにとってもやはり難解なようでG大阪のリーグ戦初勝利 or 引き分けのダブルを選択。ただ、AIシミュレーションを見てみると試合は終始G大阪のペース。序盤からボールを支配したホームチームは前半のうちに2ゴール。両翼の井出とファンが躍動し、最後はいずれも長沢が仕留めた。一方、劣勢の神戸は後半開始直後、サイドを広く使った展開から大槻がフィニッシュして1点を返したものの主導権を奪うには至らず。自陣に押し込められる時間が長く、散発的に訪れるチャンスもものにできなかった。

◯予測
「WARP」:G大阪の勝利 or 引き分け
川端さん:G大阪の勝利 or 神戸の勝利


■柏対広島

 totoの投票状況を見ると、戦前の下馬評では前節川崎との直接対決を制し首位に浮上した広島が優位に立っている。だが、WARPは柏の勝利かあるいは引き分けと予測した。AIによるシミュレーション結果は柏の2-1。柏の2ゴールはいずれも左サイドからで、1点目は左サイドを自ら持ち上がった江坂が、2点目は左サイドを崩した後に逆サイドへと展開し、最後は中央で待っていたクリスティアーノがネットを揺らしている。対する広島のゴールもやはり左サイドから。川辺が崩し、エースのパトリックが決めた。これにソフトデータも踏まえた上で、柏の勝利か引き分けとしている。対照的に、川端さんの予想は0-1で広島。ホームで戦える柏だが、川端さんはACL敗退の後遺症を懸念。対戦相手から「めちゃくちゃ堅い」と評される広島の守備が柏をシャットアウトすると予測した。

◯予測
「WARP」:柏の勝利 or 引き分け
川端さん:広島の勝利


■浦和対仙台

 監督交代後の初戦となる浦和のパフォーマンスが焦点となる一戦。川端さんは「新監督の大槻さんは手堅いサッカーを志向するので、戦う部分を強調したソリッドなチームになるでしょう。もともと能力のある選手がそろっていますし、これだけの危機的状況ですから奮起してしっかりとした戦いができると思います」とアジア王者の復調を予想。ただ、「監督交代後の初戦は引き分けが多い」というデータを重視して1-1の引き分けとした。WARPのAIシミュレーションを見てみると、先制は仙台。ハーフウェイライン付近でのボール奪取から手数少なく攻め切ってみせた。しかし、そこから浦和が2ゴールを挙げ逆転。2点はいずれも興梠のゴールだ。データも加味した結論も同じく2-1で浦和の勝利となっている。

◯予測
「WARP」:浦和の勝利
川端さん:引き分け


 ハッキリ白黒がつきそうな予測結果となったが、より多く的中させるのは果たしてどちらか。週末の結果に注目してほしい。


WARP公式サイト
では上記以外のJ1/J2全試合の予測を公開中!


<WARP紹介>

◯サービス概要
正式名称 WARP
利用料金
無料会員 無料
有料会員 月額500円+税
提供会社 株式会社Sports AI
サイトURL https://warp-football.jp/
問い合わせ先 info@sports-ai.jp

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AItotoWARP

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。