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最先端GKエデルソンの凄みとは? ノイアーが君臨する近代型の玉座へ

2018.03.01

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 16歳の時に母国ブラジルを離れ、ベンフィカのユースで育ったエデルソン・モラエスはポルトガルの地で研さんを積み、瞬く間に世界のトップレベルに到達した。ベンフィカではトップチームに上がれず、2011年に3部リベイロンでプロデビュー(その後リオ・アベを経て15年にベンフィカ復帰)した男が、6年後にはGK史上最高額の移籍金(ポンド換算の場合)でマンチェスター・シティに加入。

 そのプレーで驚異的なのは過酷なリーグで鍛えられた「球際の強さ」で、ニアサイドの強烈なシュートを弾き返せる「強靭な腕力」を誇る。加えて、イングランド初挑戦とは思えないペナルティエリア内での競り合いの安定感を武器にセットプレーを処理し、相手選手との接触を厭わない積極的な飛び出しでDFラインの背後をカバー。正しいポジショニングと身体能力によってゴールライン上でシュートを阻む「静」と、高い位置に出て裏のスペースをケアする「動」を併せ持つ彼は、欧州でも非常に希少な存在だ。

 さらに、ペップ・グアルディオラが求める「ポゼッションの起点となる能力」に定評があるのも、エデルソンが最先端たるゆえんだろう。フットサル出身で、もともとSB経験もある彼の技術はフィールドプレーヤー顔負け。現在2番手のブラボも同様にショートパスを中心としたビルドアップへの関与能力を評価されて昨季シティに加入したが、エデルソンは長距離・中距離への圧倒的なボール供給能力を兼備しており、敵が前からプレッシングを仕掛けづらい状態を作り出せる。特にミドルレンジのパス精度はプレミアリーグを見渡しても比肩するGKが存在しないレベルで、インステップの低い弾道で足下に落ちるようなボールを正確に配球。平均身長が比較的低いシティの選手が苦手な空中戦に頼ることなく、ボール到達までに時間を要さないキックによってカウンターの起点となるのだ。マヌエル・ノイアーが君臨する近代型の玉座へ、エデルソンはまい進しているのかもしれない。

移籍金3500万ポンド(約52.5億円)も安かった!?傑出したシュートストップ能力と足下の技術で評価急上昇中のエデルソン。第18節トッテナム戦(4-1)では敵のMFエリクセンやデレ・アリを上回るパス成功を記録したことも話題に


Photos: Getty Images

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エデルソンマンチェスター・シティ

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

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