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個人ブランド価値は約1530億円。ロナウドはなぜ北中米W杯直後にポルトガル代表を引退できなかったのか?

2026.11.08

また1人、時代を牽引してきた名手が一国を背負うユニフォームを脱いだ。11月5日、234試合146得点というサッカー男子代表史上最多の数字、そして自国初の欧州制覇となったEURO2016、UEFAネーションズリーグ2018-19&2024-25という3つの大陸タイトルを積み上げてきた、ポルトガル代表での約23年間のキャリアに終止符を打つことを発表したクリスティアーノ・ロナウド。しかし、41歳の最後は決して円満な別れではなかった。引き金となった「ロナウド事件」を振り返りながら、北中米W杯直後に代表引退できなかった理由を、同国代表サポーターでもあるゴンサロ氏と読み解いてみよう。

2度の「約束」をめぐってジェズス新監督と衝突。「ロナウド事件」の要約

 カウントダウンは、世界を騒がせた「ロナウド事件(Caso Ronaldo)」から始まっていた。コペンハーゲンでのデンマーク戦(A)前日の9月30日、クリスティアーノ・ロナウドが突如としてポルトガル代表を離脱。本人はSNSで「近いうちに代表チームを離れることになった理由について、ポルトガルのみなさんに真実を明かします」と投稿したが、様々な憶測が飛び交う中で1週間後の10月6日に沈黙が破られた。

 ロナウドの約2000語にも及ぶ声明文によると、W杯ラストマッチとして涙を流した準々決勝・スペイン戦の前日会見でも仄めかしていたように代表引退を考えていたロナウドは敗戦後の機内にて、ポルトガルサッカー連盟(FPF)のペドロ・プロエンサ会長から慰留を受けるとともに、昨季アル・ナスルでともにサウジ・プロリーグを勝ち獲ったジョルジュ・ジェズス監督が次期指揮官候補であることを明かされていたという。

 その就任後の8月某日には、アル・ナスルのプレシーズン合宿地であるポルトガル代表のトレーニング拠点でジェズス監督とロナウド、そして両者を知る同クラブのスポーツディレクター、シモン・コウティーニョを交えてチームの方針や9月・10月シリーズの起用法について話し合い、ロナウドはウェールズ戦(H)、ノルウェー戦(A)、デンマーク戦(A)、ノルウェー戦(H)の全4試合のうち、ウェールズ戦(H)とノルウェー戦(H)のホームゲーム2試合のみ出場するという「約束」を交わす。監督側はアウェイ遠征には帯同しなくてもいいとまで提案していたものの、選手側はチームキャプテンとして、そして「自分だけがポルトガルに残るという特別扱いは良いお手本にならない」として即却下したそうだ。

 そして、予定通り9月24日のウェールズ戦(H)に先発。67分までピッチに立った大ベテランは、3日後のノルウェー戦(A)には出場しないはずだった。しかし、試合当日の昼食時にジェズス監督は「30分だけ起用するから準備をしておけ」と指示。結局、本番ではハーフタイムからウォーミングアップに汗を流すも呼び出されることはなく、試合終盤にはチームの勝利を願いつつも「1人にさせてほしい」と思い詰めていたロナウドは、敵地まで駆けつけてくれた自国代表サポーターに挨拶もできぬまま、試合終了のホイッスルが鳴るとともに足早にロッカールームへ戻るほど、不信感に苛まれていたという。

 このすれ違いをめぐって48時間後、「約束」の証人でもあるコウティーニョ立会いの下でロナウドとジェズス監督が意見交換すると、「唯一の解決策」として同監督が出席を控えていたデンマーク戦(A)前日会見を弁明から始めるという合意で、足並みがそろいかける。その公の場で主に「今回の代表活動における起用法の提案者は他の誰でもない、ジェズス監督自身だったということ」「ロナウドがジェズス監督の判断に異議を唱えたことは一度もないということ」「ロナウドをウォーミングアップさせた後に出場させなかったのは、ジェズス監督の過ちでもう繰り返されることはないということ」を説明する「約束」の下で両者は抱擁を交わし、それらを含む8つの要点はジェズス監督の要望とロナウドの了承に基づいて文書化までされていた。ところが、実際の会見ではそのような言葉は一切発せられず、2度目の「裏切り」として受け取ったロナウドは代表離脱を決意したという。

同じ無断代表離脱で比較対象に。カルバーリョが語るロナウド像

 矛先が向けられたジェズス監督はロナウドの声明発表当日も、「クリスティアーノの声明は読んでいない。U-21ポルトガル代表の試合を見ていたから」と意に介さず、2日前の4連勝で締めくくった9月・10月シリーズ最終戦のノルウェー戦(H)後もロナウドに敬意を払いつつ、あくまでも監督と選手という線引きを強調した上で11月シリーズでの再招集に扉を閉ざさなかった。

 「今後どうなるかはわからない。私としては、すべての可能性が残されている。クリスティアーノ自身が、自分の今後について決断しなければならない。次回の代表メンバー発表の際、彼が現役でプレーを続けていて、代表に戻りたいと望むのであれば、招集しない理由があるだろうか?」

 「私にとって、今回の出来事は最初から問題ですらなかった。監督として、ごく普通のことだと考えていたからだ。私には決して譲れない原則がある。しかし、今回の件では、私の監督としての権限が脅かされるような特別な出来事は何も起きていない。だからこそ、次回の代表招集時に彼がアル・ナスルでプレーを続けていて、代表復帰を望むのであれば、招集の対象になる」

 「彼は、(アル・ナスルで)1年間築いてきた友情を理由に、理解しがたい状況で私に特別な対応を求めることはできない。今日の試合でも、ウォーミングアップをしながら出場しなかった選手が何人いただろうか?それで何か問題が起きるだろうか?起きないだろう。もちろん、クリスティアーノの場合は事情が異なる。彼はポルトガル代表の象徴だからだ。しかし、私にとっては何の問題もなかった。今回の代表招集前にも彼とは話をしたし、次回の招集前にも話し合うことはできる。ただし、最終的に決断するのは彼自身だ」

 そこでもう1つ、ロナウドの代表復帰に向けた注目点となったのは、選手自身も「私の一連の行動についてはFPFの判断の下で処分が下されるべきでしょう」と声明内で自覚していたように、FPFが定める懲戒規約に基づいてロナウドがどのような罰を受けるか。その最新基準に照らし合わせると代表活動の無断離脱は1~6カ月の出場停止処分に相当するものの、「ロナウド事件」で適用されたのは離脱日(9月30日)を起算日とする1カ月(30日間)の出場停止。つまり10月30日には消化できるため、11月シリーズには間に合う見通しが立った。あわせて課された罰金も255ユーロ(約4万5000円)と少額で済み、そこにはいち早くロナウドを呼び戻したいFPF側の思惑も見て取れていた。

 その処分内容の比較対象としてポルトガルメディアの間で頻繁に報じられたのが、元同国代表DFのリカルド・カルバーリョの一件である。

……

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Profile

ゴンサロ

大学時代にポルトガルのリスボンへ留学。現地エスタディオ・ダ・ルスの熱狂的雰囲気に圧倒され、ベンフィカの虜となる。趣味はベンフィカやポルトガル代表の試合観戦を目的とした海外旅行。ポルトガルサッカーに関するニッチな情報を日々SNSにて発信している。X:@BergkamPutin

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