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「気が弱いのは今も変わっていない」。田中聡が欧州で身につけた「切り替える力」と、シャルケでつかんだ日本代表復帰への道

2026.09.24

シャルケで先発の座をつかみ、バイエルン戦では13km超の走行距離で世界王者と渡り合った田中聡が、日本代表へ戻ってきた。だが、その歩みは決して一直線ではない。ベルギーで出場機会を失い、湘南へ戻り、広島で「デュエル王」として飛躍し、再び欧州へ。2022年の取材で「実はメンタルが弱い」と明かしていたMFは、4年後に「気が弱いのは今も変わってない」と穏やかに語る。強気にボールへ食らいつくプレーの裏側で、田中聡はどのように自分自身と向き合い、変わってきたのか。シャルケでの現在地と、4年間の成長を追う。

「攻撃のところで改善点がある」。シャルケで先発をつかんだ田中聡の現在地

 9月20日、6万1554人の観衆で埋まった、ドイツ・ゲルゼンキルヘンのフェルティンス・アレーナ。エルフェルスベルク戦のキックオフ直前、熱狂的に応援するウルトラスに向かってチームメイトが手を振る中、田中聡はただ1人、深々とお辞儀をした。それはサポーターへの心からの感謝。174cmのエネルギッシュな小兵MFはサポーターからの応援を目一杯、身体に取り込むことによってさらにエネルギーをブーストさせるのだ。

 デュエルに挑む、というよりデュエルに飛び込んでいくという表現がピッタリな田中の1対1のせめぎ合いにはインテンシティの高さに加え、相手に食らいつくねちっこさもある。しかも、この闘う男は左足の繊細なテクニックも備えている。

 オフ・ザ・ボールでの位置取りは見事。観客席からピッチを俯瞰して眺めていると、田中があえて空けたスペースに向けてビルドアップのパスを出そうとした相手が、慌ててキャンセルするシーンが幾度かあった。こうした駆け引きに対戦チームの集中力が切れた瞬間、田中は鋭い出足で相手のパスをカットしてしまう。

 エルフェルスブルク戦の田中はボックス・トゥ・ボックス型MFらしく、FWエディン・ジェコと並ぶチーム最多タイとなる3本のシュートを打ったものの、もう少しボックス内での怖さを漂わせてもよかった。78分にロン・シャレンベルクと代わってベンチに退く時、田中に対して盛大な拍手が送られたが、本人の様子には心なしか悔しさがにじんでいるようだった。

 試合が0-0の引き分けに終わり、しばらくしてからミックスゾーンに姿を現した田中は「個人的には精彩を欠いてしまったゲームでした」と答えた。

 「広いエリアで(攻守にわたってプレーするスタイルなので)すごくシンドいですけれど、いい経験ができていると思います。今日は攻守においてあまり自分の思うようなプレーができませんでした。しかし、これからまだまだ試合があるので改善しながらやっていきたいです」

 その改善ポイントとして田中は「攻撃のところで縦パスを刺したり、もっとボールを受けて散らしたりすること」を挙げた。エルフェルスベルク戦の田中は、セントラルMFのコンビを組むスフィアン・エル・ファウジと比べるとボールタッチの回数、パスの本数が明らかに少なく、攻撃のテンポ作りという点では物足りなさがあった。

 それでもドイツに来ておよそ9カ月の田中がデュッセルドルフ(2部)からシャルケにステップアップし、90分あたりのインターセプト本数でブンデスリーガ上位のスタッツを残すほど活躍しているのは立派なもの。しかもデュッセルドルフが3部降格の憂き目に遭った中、田中はたった半季のパフォーマンスが高く評価され、1部昇格チームのシャルケへのステップアップを勝ち取ったのだ。

 「デュッセルドルフが降格したのは残念です。しかし、自分は目の前のことをしっかりやることで、こういう舞台に来ることができました。シャルケでは最初、スタメンでは絡めませんでしたが、やることをちゃんとやっていればチャンスはやってきます。だから、先のことを見過ぎずにやることを心がけています。そして周りとあまり比べないようにしています」

 田中にとって“チャンス”は第2節のバイエルン戦だった。

……

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中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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