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広島のクシニ、町田のテテ。Jリーグで再び交差するイェンギ兄弟、それぞれのフットボール・ジャーニー

2026.09.10

8月31日、サンフレッチェ広島が豪州代表FWクシニ・イェンギの加入を発表した。町田ゼルビアでプレーする弟テテ・イェンギと、これで2度目となるJリーグでの兄弟揃い踏みが実現する。アデレードで育ち、南スーダンにルーツを持つ2人は、同じ夢を抱きながらも、それぞれ異なる道を歩んできた。何度も交差してきた2人のキャリア、故郷アデレードで育まれたアイデンティティ、そして父の故郷で思い描くチャリティ。再び日本で邂逅した2人の「フットボール・ジャーニー」をたどる。

 J1サンフレッチェ広島は8月31日、豪州代表FWクシニ・イェンギ(27/以下クシニ)を、アバディーン(スコットランド1部)からレンタル移籍で獲得したと発表した。これで、2度目となるクシニとテテ・イェンギ(25/以下テテ)のイェンギ兄弟のJ揃い踏みが見られることになる。前回は叶わなかった兄弟対決が、今度こそピッチ上で実現するかもしれない。

広島で再起なるか。クシニが挑む「2度目の日本」

 クシニは今年の100年構想リーグではセレッソ大阪に所属し、4試合に出場した。しかし、加入からわずかな期間で、手術を要する左大腿直筋腱断裂という大ケガを負い、シーズンを棒に振って離脱。そのままレンタル期間が終了という残念な結果となり、Jに爪痕を残すことはできなかった。いったん保有元のアバディーンに復帰したものの構想外となり、新たな移籍先を模索していたところに広島からのオファーが舞い込んだ。

 その広島には、クシニと似たような体格のコートジボワール人長身FWセバスティアン・アレーがいるが、この2人はプレースタイルに違いがあり、共存は可能に思える。ポストプレーに優れるアレーに対して、クシニは長いストライドを駆使して裏に抜けたり、スペースへ駆け込んだりと、走力を売りにするタイプだ。現実的には、リーグ序盤にしてすでにJ1でも有数の完成度を見せる広島のフットボールに慣れながら、まずは控えとしてのスタートになるだろう。練習試合やカップ戦など与えられた機会で実力を証明していけば、いずれリーグ戦でもチャンスは訪れるはず。もし、アレーとともにピッチに立てば、そのツインタワーの高さと強さは相手の脅威となるに違いない。シーズン終了までの短い期間で、与えられるチャンスをどう生かし、自らのフットボーラーとしての未来をどう切り開いていくのか。大いに注目したい。

町田で開花したテテ。“メンター”デュークとの邂逅

 一方、弟のテテは、今年1月にリビングストン(スコットランド1部)から買い取りオプション付きのレンタル移籍で町田に加入。百年構想リーグとACLを戦い、結果を残して、サプライズ選出となったW杯後の7月、完全移籍が決まった。

 開幕に向けてじっくりと準備をして新たなシーズンに臨んだこともあってか、開幕から一貫して、チームの欠かせない戦力として結果を出している。本稿執筆(第6節終了)時点では、開幕から6試合すべてに出場。前節にサブに回るまでは先発を続け、すでに百年構想リーグに並ぶ2得点を挙げている。

 今季ここまでの充実ぶりは、今夏に再加入した同じオージーで、サッカルーズの大先輩でもあるミッチェル・デューク(35)に負うところも大きいはずだ。開幕戦のFC東京戦では、さっそく2人のゴール競演が見られた。

 翌節のジェフユナイテッド千葉戦でも、デュークがクロスでテテのボレー弾をお膳立て。すでに代表引退を表明したサッカルーズの大先輩と、今後の代表復帰が期待される若きFW。その師弟関係がJの舞台で成熟し、メンターの薫陶を受けたテテがJリーグで大活躍してサッカルーズ復帰。そして兄クシニとの代表での共闘が実現する――そんなシナリオがサッカルーズ推しの筆者には何とも胸熱な展開なのだが、果たして現実のものとなるか。

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Profile

タカ植松

福岡県生まれ。豪州ブリスベン在住。成蹊大卒業後、一所に落ち着けない20代を駆け抜けてから、アラサーでの国外逃亡でたどり着いたのがダウンアンダーの地。豪州最大の邦字紙・日豪プレスでスポーツ関連記事を担当後、フリーランスとして活動を開始。豪州フットボール事情というニッチをかれこれ15年以上守り続けて、気が付けばアラフィフ。オージー妻に二児の父。

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