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なぜストークは監督も「心から愛している」のに売却?データで振り返る浦和新加入・瀬古樹のチャンピオンシップ挑戦

2026.08.27

川崎フロンターレからストーク・シティへと飛び立って2年。今夏に浦和レッズへの完全移籍を果たした瀬古樹の決断には、ストークの監督やスポーティングダイレクターからも惜しむ声が相次いだが、その背景にある「中盤総入れ替え」とは?Jリーグに復帰した28歳のチャンピオンシップ挑戦を、解説者としても活躍する秋吉圭(EFLから見るフットボール)氏がデータとともに振り返る。

 「彼を心から愛しています。心からです。最高のプロで、本当に最高の人間でした。彼の幸運を願っています」(『ストーク・センチネル』/2026年8月9日)

 2026年8月9日、カラバオカップ初戦の翌日。ストーク・シティのマーク・ロビンズ監督は、前日のメンバーから外れた瀬古樹について問われ、そう答えた。移籍の別れ際、監督がかつての教え子を心のこもった言葉で見送るのは決して珍しいことではない。しかしもちろん、すべての移籍がそんな幸せな結末を迎えるわけでもない。

 監督だけではない。移籍が正式発表された8月16日、スポーティングダイレクターのジョナサン・ウォルターズは移籍を報じる声明にこう綴っている。

 「樹は実に素晴らしいキャラクターで、在籍期間を通じて非の打ちどころのないプロフェッショナルでした。彼とその家族は母国への帰還を探っており、我われは浦和(レッズ)と合意に達しました。彼のストーク・シティの選手としてのコミットメントに対する感謝と次なるチャプターでの幸運を祈って、彼を見送ります」

 幼い娘を持つ28歳が、家族との時間のために母国へ帰る。思えば昨年10月、クラブ公式が公開したインタビュー『Seko Says』においても、異国の地での日々の中で娘と過ごす時間の大切さについて彼は語っていた。クラブはそれを尊重し、感謝とともに送り出す。契約は残り1年、クラブとしてもほぼ最後に近い売り時だった。

 2024年8月のデッドラインデー間際に加入、ストークでは丸2シーズンを過ごした。私は昨年9月にも彼のストーク・シティでの日々について寄稿させてもらっていて(過去記事『15年間続くストークの「冷え切った夜」は明けるのか?洗礼を浴びて勝負の2年目、努力を惜しまぬ瀬古樹にさした光』を参照)、加入からの経緯についてはそちらも併せてご覧いただければと思う。その時ストークは開幕ダッシュに成功し、慣用句となった「ストークの冷え切った夜」が遂に明けるのかもしれない、そんなことを書いた。

 その時の答え合わせから入るとすれば、やはり、夜は明けなかった。相当な上振れを示していたアンダーラインデータは予想通り収束に向かい、11月まで2位を走っていたチームはホームでの首位コベントリーとの直接対決に敗れたあたりをきっかけに失速、最終順位は実に17位。2017-18シーズンのプレミアリーグ降格からチャンピオンシップで過ごした8シーズン目、そのいずれもが14〜18位の間でフィニッシュしているという驚異的な低空飛行の例に漏れず、ストークの “Another Season” が終わった。

 瀬古はキャリア最多の公式戦47試合に出場した。カップ戦4試合を除き、リーグ戦43試合という出場数は出場時間も含めストークのセントラルMF陣の中では最多。うち先発は26試合で、開幕のダービー・カウンティ戦で記録した1アシストが結果的に2年間で唯一のゴールへの直接貢献となった。

 ストーク在籍時における彼の強みは、何と言っても2年間にわたり大きなケガをしなかったことだ。特に1年目、Jリーグのシーズンからの地続きで実質1シーズン半を休みなしで過ごした(コンディション関係なく試合出場自体は減っていた時期だったが)ことを思えば、その事実は説得力を増す。多くの日本からやってきた選手に共通することだが、「サボらない」、「常に全力」、そんなイングランドにおいて最も重要な称賛の言葉もファンからは定期的に寄せられていた。

 監督に愛され、スポーティングダイレクターに愛され、ファンに愛された。試合にもしっかり出ていた。そんな彼が、日本に戻った。

 そこに目を背けてはいけない事実がある。本当に手放せない戦力を、クラブは家族の事情だけで手放したりはしない。ストークはリーグ内でも屈指の資金力を持つクラブだ。瀬古の契約は1年とはいえ残っていたし、より本気の契約延長へのオファーを出すことだって当然できたはずだ。ロビンズが「すべての試合に出られる状態だった」とまで言う選手である。

 それでもストークは彼を引きとめなかった。一体なぜか。その答えを探る最初のヒントは、今夏の補強リストの中にある。

補強からうかがえる本気度。瀬古の代役はチャンピオンシップ屈指のMF

 ロビンズ体制で2度目の夏を迎え、今夏のストークは中盤の構造を文字通り作り替えた。

残留の2人のうちリゴは昨季加入の2年目、契約残り1年のピアソンはクラブが積極的に放出へ動いているという報道がある

 37歳のスティーブン・エンゾンジと31歳のルイス・ベイカーが契約満了となり、最も出場時間が長かった瀬古もクラブを去った。昨シーズンいた5人の中盤のうち3人が退団、そして同じく3人を獲得した新戦力の値札に目を移すと、この入れ替えの本気度が分かる。

……

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Profile

秋吉 圭(EFLから見るフットボール)

1996年生まれ。高校時代にEFL(英2、3、4部)についての発信活動を開始し、社会学的な視点やUnderlying Dataを用いた独自の角度を意識しながら、「世界最高の下部リーグ」と信じるEFLの幅広い魅力を伝えるべく執筆を行う。小学5年生からのバーミンガムファンで、2023-24シーズンには1年間現地に移住しカップ戦も含めた全試合観戦を達成し、クラブが選ぶ同季の年間最優秀サポーター賞を受賞した。X:@Japanesethe72

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