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“捨てない”ことで、押し込める。「コネクター」オベルダンが変えたファジアーノ岡山の攻守

2026.09.01

奪ったボールを、もう捨てない。それだけで、チームは押し込めるようになる。8月に加入したブラジル人ボランチのオベルダンは、正確なパスと鋭いボール奪取でファジアーノ岡山の攻守を変え始めている。後方の安定は鈴木喜丈の攻撃参加を促し、宮本英治を本来のボックストゥボックスへと解放した。木山隆之監督が「チームの中心にしなきゃいけない」と語る新戦力は、なぜこれほど早く岡山にフィットしたのか。フットサルから始まったキャリアにも、その理由を探る。

「奪った後」を変えた新たなボランチ

 「チームの中心にしなきゃいけない」

 木山隆之監督にそう言わしめるのが、オベルダンだ。8月7日に全北現代モータースから加入したボランチである。

 韓国1部リーグで2シーズン連続ベストイレブンに輝いた実力者は、自身のプレースタイルについて「コネクター」と表現する。

 「守備での貢献とパス精度を強みとし、攻守を繋ぐ『コネクター』としてプレーすることが特徴です」

 岡山に合流すると、一度きりの全体練習を経て第1節のセレッソ大阪戦では後半の頭からプレーし、特に攻撃面で力を発揮した。チームメイトの顔と名前は、まだ完全に一致していない。“ぶっつけ本番”だったが、中盤の底に入った背番号80にはさっそくボールが集まった。狭いエリアでの相手プレッシャーにも臆することなくパスを引き出し、左右に配球していく。ポジショニングを微調整し、味方との距離を縮めてからタッチ数の少ないパス交換でリズムを作る。前半と打って変わり、中盤でボールが収まり動くようになり、押し込む時間帯を増やした。

 ボールが足下から離れない。状況判断も常に的確で、落ち着いている。ファーストタッチもパスも、限りなくミスが少ない。チームは惜しくも1-2と逆転負けを喫したが、オベルダンが示した技術の高さはチーム内外に大きなインパクトを残した。岡山の中枢を担う江坂任は「まずはボールを失わないので、すごく信頼して預けられる選手。個人でボールを運んでいけるし、個人でボールを奪える選手でもある。そこはすごく助かる。あと、目が合うので、攻撃ではコンビネーションを出せればなと思う」とすぐに実力を認めていた。

 第2節のV・ファーレン長崎戦では[3-4-2-1]におけるボランチの1人として先発すると、1-0での今シーズン初勝利に貢献。ボールを触るたびに1万4,223人のサポーターからは大歓声が沸き起こった。

 第3節の東京ヴェルディ戦でも先発すると、結果はスコアレスドローとなったが、前節から2試合連続で被枠内シュート数ゼロを記録。迅速なセカンドボールの回収と、佐野海舟を彷彿とさせるような相手を出し抜く形でのインターセプトで守備を引き締め、岡山が相手コートでプレーする時間を長くしていた。

 オベルダンの加入によって、チームは確実にパワーアップしている。ともに戦う選手たちは攻守両面での“オベ効果”を感じている。

 奪ったボールを失わずに確実につなぐ力は、行ったり来たりの慌ただしい展開を打ち消し、チームの重心を高い位置に保つことを可能にさせる。相手に押し込まれず、自分たちが押し込むという理想的な展開を支えている。

 「奪った後のボールやルーズボールのところで、クリアをして捨てるのではなく、つないでマイボールにできているからこそ押し込めている」(江坂)

鈴木喜丈を“フィニッシャー”に変えた「オベ効果」

 攻撃時のオフ・ザ・ボールでもチームに貢献している。オベルダンはむやみやたらに駆け上がっていくのではなく、立田悠悟の近くに留まることが多い。カウンターで突かれそうなスペースを埋めながら、味方の攻め上がりを促すポジショニングをしているのだ。特に左斜めに落ちる傾向が強い。その結果、ボランチ出身で3バックの左を務める鈴木喜丈の攻撃参加が多くなり、火力が増している。

……

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Profile

難波 拓未

2000年4月14日生まれ。岡山県岡山市出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生からサッカーメディアの仕事を志すなか、大学在学中の2022年にファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブのマッチデープログラムを担当し、現在は様々な媒体にも取材記事を寄稿している。東京のスポーツメディア会社に約2年勤務し、2026年からは地元の岡山でフリーランスとして活動。モットーは、「魂を込めて、クラブや選手の魅力を伝える」こと。

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