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ゴン中山サッカーが強い!保持率トップで得点数もトップ。練習は超ハードも「やっていて楽しい」スタイルでJ2昇格圏をキープ中。中山アスルクラロの現在地とは?

2024.05.02

”ゴン中山サッカー”がJ3で猛威を振るっている。ハードワークをベースにしつつ、見る者もプレーする者も魅了するサッカーを展開中だ。昨季から継続するチーム作りは順調そのもの。中山雅史監督や選手たちの声を頼りに中山アスルクラロの現在地を探った。

「超攻守一体」でアグレッシブなスタイルを継続

 日本サッカー界のレジェンド“ゴン中山”こと中山雅史監督が率いるアスルクラロ沼津が強い。

 正確に言うと、就任2年目で強さがグッと増してきた。J3第11節を終了した時点で、6勝3分2敗の2位。無敗で首位の大宮と勝点6差で、得点数では大宮と並んで1位。またホームでは、開幕から6連勝とクラブ記録を更新している。

 2017年にJFLからJ3に昇格した沼津は、中山監督が現役時代の最後を過ごしたチーム。昨年その指揮官に就任した際は、監督業としての初舞台であり、はたして指導者としての資質はいかに……という意味でも大いに注目を集めた。

 そんな中で昨年は、「超攻守一体」を合言葉に掲げて、攻守ともに非常にアグレッシブなサッカーを一貫して志向し続けた。攻守の切り換えの速さや豊富な運動量をベースに、自分たちでボールを握り、奪われたらカウンタープレスで即座に奪い返すというサッカーを展開した。

 それが夏頃から結果につながり始めて22節で3位まで上がり、J2昇格の可能性も感じさせた。だが、その後は相手に研究されたこともあって失速して最終的には15勝6分17敗(勝点51)の13位。平均ボールポゼッション率は54.8%で、J3でトップの数値を示すなど目指す戦い方を体現できた面もあった。ただ、勝ち切るという面では足りない部分もあり、収穫と課題の両方を得ながら1年目を終えた。

臨機応変な戦いぶりでゴールへの迫力を担保

 それを踏まえて今季は「続・超攻守一体」というスローガンで昨年から積み上げてきたサッカーを継続。選手の誰に聞いても「基本的なやり方は去年から何も変わっていません」と答える。主力選手の大幅な入れ替わりもない。

 では、なぜ今季は早々に結果が出始めているのか。

 右サイドバックの安在達弥は、いわゆる“偽サイドバック”的な役割を担い、戦術的な要になっているが、今季の進化について次のように語る。……

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アスルクラロ沼津中山雅史

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前島 芳雄

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