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ジェフ千葉が直面する壁。「自分たちのサッカー」にしがみつくではなく、使いこなす余裕

2024.04.19

J2開幕10試合を終えて、4勝2分4敗の10位。昨シーズンのプレーオフ進出を経て、悲願のJ1昇格を狙うジェフ千葉の序盤戦は評価の難しいものになっている。果たして小林慶行体制2年目のチームの歩みは順調なのか、足りないものは何なのか――西部謙司氏にここまでの戦いを総括してもらった。

 昨年はプレーオフ準決勝で東京ヴェルディに敗れた。だが、手応えを感じた試合でもあった。千葉は「自分たちのサッカー」をかなり表現できていたからだ。

 プレーオフに敗れたからといって、すべてを御破算にしたくなる衝動は起きなかった。それよりも手に入れつつある「自分たちのサッカー」を信じて固めていけば、その先に光が見えてくるかもしれない――敗れたけれども希望は残っていた。

 2年目の小林慶行監督が毎試合のように口にする「自分たちのサッカー」とは、プレースタイルであり理想だ。理想や理念には人々の希望を集め、クラブとファンを一体化させていく力がある。なぜサッカーをするのか、それをどう表現するのか? 

 「自分たちのサッカー」はその1つの答えであり、その掲げる旗はサッカークラブにとって重要なものである。

 一方で、理想や理念だけで飯は食えない。

 「自分たちのサッカー」を実現しさえすれば、自動的に勝利が転がり込んでくるものでもない。「自分たちのサッカー」という理想を実現しながら敗れたのが昨年のプレーオフだった。当然、相手にも「自分たちのサッカー」があるわけで、さらにどちらが理想をより実現するかで勝敗が決まるわけでもない。

 千葉は「自分たちのサッカー」という土台を作ることができたが、それで勝てるかどうかはまた別の話であり、今季はそれが問われるシーズンとしてスタートした。

「自分たちのサッカー」にブレーキを踏んだ開幕戦

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ジェフ千葉

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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