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「結果がすべて」のプレーオフで敗れたジェフ千葉。しかし、マリエンヌは旗を振っている

2023.11.28

2023シーズンのJ2で7連勝を含む終盤の巻き返しでJ1昇格プレーオフ圏内の6位に滑り込んだジェフユナイテッド千葉。その勢いのまま15シーズンぶりのJ1昇格を目指したが、プレーオフ準決勝で東京ヴェルディに2-1で屈した。大一番での敗戦、そして続投が決まった小林慶行監督体制の今後も含めて、クラブを追い続ける西部謙司氏が想いを綴る。

 七月革命をモチーフにした「民衆を導く自由の女神」はウジェーヌ・ドラクロワの傑作として有名である。赤白青の三色旗を手に、銃を携えた革命勢力を先導している女性はマリエンヌ。フランス共和国を擬人化したシンボルで、自由の女神とも呼ばれている。

 このマリエンヌの勇姿に吸い寄せられてしまうが、彼女の足下には死屍累々。マリエンヌを抜き取ってしまうと何とも殺伐とした恐ろしい光景だけが残る。実際にマリエンヌは存在しないのだから、現場の実態はそういうことなのだ。この惨状が惨状と映らないのは、ひとえにマリエンヌがいるから。理想、理念、この場合は「自由」。形のない「考え」だけが光り輝いていて、「考え」に先導された人々が地獄の中を進んでいく。

「自分たちのサッカー」という千葉のマリエンヌ

 プレーオフ準決勝に敗れた後、ジェフユナイテッド千葉の小林慶行監督は「結果がすべてのゲームに敗れてしまって悔しい」と話し始めた。

 結果がすべて――プレーオフはまさにそういう試合だ。さらにプロサッカーのゲームはほとんどすべてそうである。ただ、それは単なる事実でしかない。結果はスコアであり数字だが、それ以外にも評価すべきものはたくさんある。多額の金を必要とするビジネスとなっているプロサッカーの世界で、目に見えるものしか評価の対象になっていないというだけだ。

 小林監督はしばしば「自分たちのサッカー」という言葉を口にする。もう昔懐かしいような言葉だが、「自分たちのサッカー」は千葉に関わるすべての人々にとってのマリエンヌだ。

 実体はあるようでなく、ないようである。「自分たちのサッカー」をざっくりと説明するとおよそこんな感じだろうか。守備は敵陣からのハイプレスを敢行、当然DFラインは高くなる。リスクは承知。攻撃は自陣から丁寧につなぐ一方、一発で相手の急所を刺すような攻め手が内包されている……もちろんこんな大雑把な説明では括り切れないものがたくさんあり、そのそれぞれもまた「自分たちのサッカー」の一部だ。つまり、全部説明するのは無理な代物なのだが、それは殺伐としたフィールドを光り輝いて照らしてくれるものだ。

 結果がすべての東京ヴェルディとのゲーム、千葉は真正面から「自分たちのサッカー」をぶつけていった。

 敵陣に押し込み、プレッシングで刈り取る。そのフルスロットルの流れからFKを得て、田口泰士のゴール前へ蹴り込んだ大きく曲がるボールがゴールに吸い込まれたが判定はオフサイド。セットプレーからのチャンスだが、勇敢に押し込んだことで得たFKである。……

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ジェフユナイテッド市原・千葉東京ヴェルディ

Profile

西部 謙司

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。

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