SPECIAL

なぜ「名選手、名監督にあらず」なのか?レバークーゼン再建を託されたシャビ・アロンソ“監督”の資質を問う

2023.03.05

現役時代にバイエルンでブンデスリーガを3度制したシャビ・アロンソが、昨年10月から監督としてドイツの地に帰還している。当時は降格圏内の17位に沈んでいたレバークーゼンだが、彼の就任後は破竹の5連勝を含む7勝2分5敗の成績。第22節終了時点で11位までチームを浮上させている元スペイン代表MFの手腕を、同じ指導者で現地在住の中野吉之伴氏が評価する。

 ブンデスリーガで今、注目されている監督の一人がシャビ・アロンソだ。

 41歳のアロンソは2022年10月に、2022-23シーズンの開幕から低迷していたレバークーゼン新監督に就任。前任者のジェラルド・セオアネはその前季にチームを3位に導き、若手も躍動していたことからさらなる進化が期待されていたが、8節までに積み上げた勝ち点はわずか5(1勝2分5敗)。CLグループステージでも6試合で1勝のみと勝点を積み上げられず、首脳陣は解任の決断を下した。

 シャビ・アロンソの選手時代のキャリアは文句の付けようがない。リバプール、レアル・マドリー、バイエルン・ミュンヘンで数多のタイトルを獲得し、スペイン代表として2008年、2012年に欧州選手権を、2010年には南アフリカW杯を優勝した経験を持つ。

 現役引退後は、レアル・マドリーの下部組織やレアル・ソシエダBで監督を歴任。2020-21シーズンにはレアル・ソシエダBを3部優勝と2部昇格へと導いた。

 「名選手、名監督にあらず」とはよく言われる言葉だが、これは名選手がそのまま名監督になれるわけではないということだ。

 果たしてシャビ・アロンソには指導者としての確かな資質があるのかを探ってみた。

現役時代は長短のパスのみならず、抜群のリーダーシップでも中盤の底からチームを操ったシャビ・アロンソ。写真はバイエルン時代

身振り手振りにも表れる守備組織構築の成長

 シャビ・アロンソがレバークーゼンの監督となり、5カ月が経った。カタールW杯による中断期間をうまく利用して、チームに確かなゲームプランを植え付けている。

 [4-3-3]と[5-2-3]が基本スタイルとして使われているが、ここまでのところ[5-2-3]のほうが、チームは攻守のバランスよくプレーできている。特に成長の跡がみられるのは、守備組織の作り方だ。

 板倉滉擁する16節ボルシアMG戦では選手間の距離をコンパクトに保ち、タイミングよくプレスを仕掛けてはボールを奪取し、鋭いカウンターから何度も攻撃チャンスへと結び付けていた。相手がボールを持つと攻撃の起点を作る選手を試合の流れからうまく消し、自分達のタイミングでボールを奪取するというイメージが共通認識としてチームに浸透しているようだ。……

残り:2,791文字/全文:3,906文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

シャビ・アロンソブンデスリーガレバークーゼン

Profile

中野 吉之伴

1977年生まれ。滞独19年。09年7月にドイツサッカー連盟公認A級ライセンスを取得(UEFA-Aレベル)後、SCフライブルクU-15チームで研修を受ける。現在は元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU-13監督を務める。15年より帰国時に全国各地でサッカー講習会を開催し、グラスルーツに寄り添った活動を行っている。 17年10月よりWEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)の配信をスタート。

関連記事

RANKING

関連記事